皆がハリーを迎えに行ってしまうと一気に静かになる。
キッチンにビルとチャーリーと残った私は薬についてあれこれ考えていた。
チャーリーに使った時の事を聞いてビルがアドバイスをくれる。
一つ一つ羊皮紙にメモを取りながらあれこれ話すのはなかなか楽しい。


フレッド、ジョージとトランク、ロンが帰ってきて少ししてからハリーがやってきた。
ビルとチャーリーを見て驚いたハリーは更に私を見て驚く。
戻ってきたアーサーさんはフレッドとジョージに怒っていて、何かやらかしたのだろう。
目が合うと二人がニヤリと笑った。


「名前、外に行こうか。きっと夕食は外だから」


ビルに促され、チャーリーと三人で外へ行く。
後ろからモリーさんが怒鳴る声が聞こえてきた。
何回も同じ事で叱られている筈なのだけど辞める気はないらしい。
人に危害を加えたりはしないので私も見ているだけ。


庭にビルが用意してくれた椅子に座って続きを話していたら暫くしてフレッドとジョージが出てきた。
二人が出て来るのを見て会話を打ち切ると、ビルとチャーリーがテーブルで遊び始める。
ジニーとハーマイオニー、ロンとハリーが揃った時、パーシーが窓から顔を出した。


「ごめんよ、パース。鍋底はどうなった?」

「最悪だよ」


ビルがニヤッと笑ったのに対してパーシーは気難しい顔。
ビルとチャーリーはパーシーをからかいたかっただけらしい。
私が一年生の時にパーシーをからかう二人を何回か見ていたからなんだか懐かしい気持ちになる。


食事が始まると私は何故かビルとチャーリーに挟まれていた。
ビルの隣はいつもの事だったけれど、チャーリーの隣は珍しい。
いつものように聞き役に回っているとハリーと目が合った。
ハリーは聞き役というより食べる方が忙しいらしい。
笑顔を向けるとハリーも笑顔を返してくれた。


ちょうどモリーさんとビルが外見について話している。
ジニーがダンブルドア先生の方が髪が長いと言ったのには思わず吹いてしまいそうだった。


「でもねぇ…名前はどう思う?」

「え?」

「ママったら、名前はきっと今のままで良いって言うに決まってるわ。ね、名前」

「あ、えと…はい」


いきなり話題を振られた事に驚いたのに、更にジニーの言葉に驚いた。
ジニーはにっこり可愛い笑顔を浮かべていてビルはクスクス笑っている。
腑に落ちないモリーさんはジッとビルを見ていたけれど不意に此方を向いた。


「ねえ、名前。貴女卒業したらどうするの?」

「まだ決まってないんです」

「あら、名前の成績なら魔法省だって行けるじゃない。なんならビルと同じ仕事は?ビルと仲良しなんだし」

「ママ、名前の進路は名前が決めるよ」


ビルがはっきりと言ってくれたけれどモリーさんは幾つも職業を挙げている。
こっそりビルと顔を見合わせて苦笑いをした。
サラダを食べながらモリーさんの話に相槌を打つ。
私もしっかり決めなければならない事は確かだ。
いきなりピタリと話していたモリーさんの声が止まる。
どうしたのだろう、と私も動かしていた手を止めた。


「卒業しても、家に遊びにいらっしゃいね」

「え…あ、はい、勿論です」


にっこりと優しく笑うモリーさん。
ビルとジニーが同意する言葉と共に頷く。
嬉しくて緩む頬をそのままに私は頷いた。




(20121202)
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