ウィーズリー家に来て数日経ったある日の朝刊を読んで私はホッと息を吐いた。
シリウス・ブラック無罪のこの記事はきっとロンが読みたがるだろう。
綺麗に畳んで机に置くと同時にフレッドとジョージが降りてきた。
眠そうに目を擦り、同じように寝癖が付いているのはすっかり見慣れた光景。


「おはよう名前」

「おはよう。早起きだな」

「貴方達が遅いんです!名前とジニーはいつも手伝ってくれるっていうのに貴方達二人は全く」

「ママ、僕達だって手伝ってるよ」


フレッドが欠伸をかみ殺しながら言った言葉はモリーさんには届いていないらしい。
二人の前に朝食を差し出すとモリーさんは紅茶を淹れ始めた。
二人は半分以上聞き流しているらしく早々とトーストに手を伸ばす。
その後直ぐにロンが降りてきてまた同じやり取りが行われた。


フレッドとジョージは最近部屋に居る事が多い。
食事の時以外は偶に外に出てくる位だ。
モリーさんの二人に対する態度が原因かと思ったけれど違うらしい。
騙し杖が初めてモリーさんの手に渡った時に二人がニヤッと笑った。
部屋の前に立って暫く悩んでからノックをする。


「入るわよー」


洗濯物を抱えて二人の部屋に入るとちょうど爆発音がした。
慌てて一歩下がったけれどどうやら大丈夫らしい。
ジョージの顔が黒くなっている以外異常はなかった。


「何してるの?」

「ちょっとした実験さ」

「黒い俺もかっこいいだろ?」


ポーズを決めたジョージを見つめて溜息を吐く。
洗濯物をベッドの上に乗せて杖を振る。
ハンカチが勝手にジョージの顔を拭き出す。
テーブルの上には色々な道具が置いてあった。


「モリーさんにバレたら怒られるんじゃない?」

「だからバレないようにするのさ」

「そうそう。ところで名前、もう良いと思うんだけど」

「駄目よ」


ハンカチに追いかけ回されるジョージはまだ頬が黒い。
何気なく手に取った羊皮紙はどうやら注文書らしく商品名が書いてある。
この二人はいつの間にこんなに開発したのだろう。


「内緒にしてくれよ」

「言わないけど庇いもしないわよ」

「そんな事言うなよ」


抱き付いてくるフレッドをそのままに商品リストを眺める。
これを見ていると二人は優秀なのだと解るのにどうして授業は真面目にやらないのか。
多分本気を出せば二人はそれなりの成績を取れると思うのだけど。


「フレッド、離れろよ」

「ヤキモチ妬きだな、ジョージくんは」


フレッドが更にぎゅっと抱き付いてきた時見慣れない梟が飛び込んで来た。
梟の足に小さい袋が付けてあるのを見て料金を払うとサーッと飛んでいく。
梟が落としていった新聞を広げると抱き付いているフレッドがいち早く覗き込む。


「何?預言者新聞?」

「ええ。号外みたい」

「ピーター・ペティグリュー逃亡?」

「ペティグリューってあれだろ?ブラックに罪をなすりつけてたヤツだろう?」

「アズカバンに居た筈だよな」


二人が話すのを聞き流しながら考え込む。
シリウス・ブラックの無罪が決まった翌日に脱獄だなんて。
ルーピン先生やブラックがまた同じ事をしようとしなければ良いけれど。




(20121130)
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