医務室に居るロンの元へ行きたかったのに、タイミングがなく、シャロンとフレッドに引き摺られてホグズミードに居た。
ジョージは唯一何か言いたそうに何回か声を掛けたけれど二人には聞き入れられて貰えず結局苦笑いをしているだけ。
朝から色んな噂話を聞いて私はルーピン先生に会いたかったし、ロンにも会いたかった。
多分今私はムッとしているけれど前を歩くシャロンとフレッドは気付いてはいないだろう。


「名前、今なら行けるぜ」

「あら、ジョージが気付いてるんだったら無理だわ」

「大丈夫。俺に任せて」


ジョージはウインクして私の背中を押す。
有難う、と口を動かすだけで伝えると城に向かって走る。
まず会うならば、ルーピン先生が先だろうか。


玄関ホールに馬車が止まっているのが見えてドキリとした。
慌てて近寄るとちょうど城からルーピン先生が出てくる。
旅行用のローブにスーツケース姿で、私を見ると驚いた表情を浮かべた。


「先生、お辞めになるって…本当なんですね」

「君の言葉は嬉しかったよ。けれど私は人狼だ。良く思わない人間も居るからね」

「それは、解ってます。引き止めに来た訳ではないんです」


意外そうな顔をした先生の手を取ってポケットから出したチョコレートを乗せる。
先生の手は細かい傷が幾つかあって、指先で辿った。


「また、会えると思ってます。それまでお元気で」

「…有難う。さよなら、名前」

「さよなら、ルーピン先生」


微笑んでチョコレートをポケットにしまうと先生は馬車に乗り込む。
馬車はどんどん小さくなって最後には見えなくなった。
ルーピン先生はどんな気持ちだったろう。




ロンを探して歩いているといつもの三人で居るのを見つけた。
あれ以来全く話をしていないからかロンにふいっと視線を逸らされる。
心の中で苦笑いを浮かべてスキャバーズの入っている籠を取り出す。


「これ、スキャバーズよね?」

「え?」

「違った?」

「名前、どうして…いや、良いや!名前、一緒に来て!」


ロンに手を引かれて嬉しそうなハリーとハーマイオニーと四人で走る。
こんな事がパーシーに知られたら怒られてしまうだろう。
ハリーの言う通り進んだ先にはダンブルドア先生が居た。


「先生、ペティグリューです!名前が捕まえてて…これでシリウスの無実は晴れますよね?」

「名字?」


ダンブルドア先生が私の手の中にある籠を見て嬉しそうに微笑む。
訳が解らない私を置いて三人はとても喜んでいる。
シリウスと言ったのはシリウス・ブラックの事だろうか。


「それでは、わしは魔法省に連絡を取るとしよう。名字、スキャバーズを貰っても良いかの?」

「あ、はい」

「グリフィンドールに10点。詳しい事はハリー達に聞くが良い」


ウインクをして立ち去ったダンブルドア先生に首を傾げる。
三人の顔を見ると一番にハーマイオニーが説明すると口を開いた。


寮に戻る間に聞いた話に驚いて言葉が出ない。
まさか誰も実は鼠が人間だなんて思わないだろう。
更にはバックビークがシリウス・ブラックと逃げただなんて。
談話室に着くと四人で暖炉の側に座った。
談話室では一、二年生がチェスをしたり爆発ゲームをしていたりと賑やかだ。


「スネイプ先生が不機嫌な理由はそれだったのね」

「あの剣幕は凄かったよ」


ハリーの説明から安易に想像出来て苦笑いを浮かべる。
スネイプ先生は何よりグリフィンドールが嫌いだ。
ポケットのチョコレートを三人に渡して私も一口かじる。


「あ、あの、名前」

「なあに、ロン」

「僕、名前と仲直りしたい。去年から…あの、駄目かなぁ?」

「あら、断る訳ないじゃない」


赤毛を撫でると照れ臭そうにしていてハリーとハーマイオニーが笑っていた。




(20121130)
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