ホグワーツに戻ると早速私は図書館に行ってドラゴンの本を集めた。
両手に持てるだけ持って来た本を一冊ずつ読んでいく。
薬草学と魔法薬の本も読めば役に立つだろう。


授業が始まってからも図書館に通う私にシャロンは呆れながらも笑っていた。
フレッドとジョージはクィディッチの練習と悪戯で忙しいらしい。
そんな状態なので図書館に居る事が多く、気付いたら隣にドラコが居る事が何度かあった。
大体ドラコが呆れながら声は掛けたと言うのだけど。


そんな中で気になったのはハーマイオニー。
いつも沢山の本に囲まれて必死に羽根ペンを動かしている。
こっそりいつも側に座っているのだけど、声は掛けられなかった。
ハーマイオニーの側だというのに寄ってくるドラコ。
それは彼が成長した証だろうか。


「座るぞ」

「あ、ドラコ」

「なんだ、今日は返事があるじゃないか」


片眉を上げたドラコは宣言通り私の隣に座る。
鞄の中から教科書と羊皮紙を取り出したという事は課題をやるらしい。
滅多に私の前で課題をやらないので珍しい光景だ。


「ねえ、ドラコ、ハーマイオニー達の事なんだけど」

「…僕は何も知らないぞ」

「そんな顔しないで」

「どんな顔だ」

「嫌そうな顔よ」


眉を寄せたドラコに聞くとやはり最近授業でもハーマイオニーは一人らしい。
嫌々話してくれたドラコはもう良いかと言いたげに教科書を開いた。
ハーマイオニーの手伝いが出来たら良いのだけど、今は無理だろう。
溜息を吐くとドラコがチラリと此方を見たので頭を撫でた。
相変わらずサラサラのその髪はキラキラと光に当たって光る。


「ドラコは、ロンやハリーが嫌い?」


つい、口から零れ落ちた疑問。
動いていたドラコの手が止まる。
ああ、しまったなと思った。
ドラコの眉がグッと寄る。


「それを僕に聞くのか、お前は」

「ごめんね。答えなくて良いわ」

「…」


何か言いたげなドラコに笑顔を見せて本に向き直った。


大広間に向かうドラコと別れて図書館の前で待つ。
風が冷たくてマフラーをしっかり巻き直す。
ハーマイオニーはどんな気持ちでこの廊下を歩いているのだろう。
ロンとハリーと喧嘩をしたのはほぼ間違いない。


「名前?」

「あ、ハーマイオニー」


ひらひら、と手を振ると驚いた顔で立ち止まる。
以前とは違う表情のハーマイオニー。


「大広間に行くのよね?一緒に行きましょう?」

「え?ええ、良いけど」


戸惑うハーマイオニーと並んで大広間を目指す。
何を話そうか、何を聞いてあげられるか。
考えているけれど上手く纏まらない自分はまだまだ幼い。
ビルみたいに上手く力になれたら良いのに。
考えていたら私が口を開くより先に、ハーマイオニーに名前を呼ばれた。


「名前は、辞めようとは思わないの?その…授業とか課題とか」

「辞めようと思った事はないわね」

「どうして続けられるの?」

「憧れの人が居るからよ。きっとそのうちハーマイオニーも会うんじゃないかしら」


首を傾げたハーマイオニーにビルの事を話す。
ロンの名前が出ると少し顔を顰めたけれどビルの事には興味を持ったらしい。
他の人には秘密という条件でビルの写真を見せると、かなり驚いている。
信じられない、という言葉に苦笑いを浮かべて写真をしまった。
ハーマイオニーの表情は先程よりもかなり明るいものに見える。


「私に手伝える事があったら言ってね。ハーマイオニーは笑っていた方が可愛いわ」

「…有難う」


ロンとハリーと早く仲直りが出来ますように。




(20121127)
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