フレッドとジョージがジャガイモの皮を剥いていて、私はジニーと暖炉の前で編み物をしている。
パーシーは部屋に籠もってモリーさんが忙しなく動いていて、私の好きなウィーズリー家の雰囲気だ。
ホグズミードからこれまでフレッドとジョージとは会話をしていない。
何か言いたそうな視線は感じるけれど、敢えてそれを避けている。
楽しかったドラコとのホグズミードにどうこう言われたくない。
ジニーは酷い事されなかったかと聞いただけで何も言わなかった。
「また見てるわ、フレッドとジョージ」
「放っておけば良いのよ。どうせドラコの事言いたいだけなんだから」
「名前がマルフォイと仲が良いのなんて今に始まった事じゃないんでしょう?」
「うん」
一番年下のジニーは二人よりかなりしっかりしている気がする。
下手したら、ロンよりもしっかりしているんじゃないんだろうか。
全く、と溜息を吐いたジニーはなんだか頼もしく見える。
ふと暖炉の火が大きくなったと思ったらチャーリーが現れた。
前に見た時よりも火傷の痕が増えている気がする。
それでも以前と変わらない太陽みたいな笑顔。
「よっ。ただいま」
「お帰りなさいチャーリー」
「名前も来てたのか」
「うん」
チャーリーの大きな手が私の頭を撫でる。
その手が離れていくのを思わず目で追うとチャーリーが首を傾げた。
けれど口を開く前にモリーさんの声がして引っ張られていく。
後でとチャーリーの口が動いたのを見て小さく息を吐いた。
部屋に戻ったチャーリーを訪ねてジョージの事を話す。
チャーリーに話す事で少しだけモヤモヤしていた物が軽くなった気がする。
ドラゴンの模型を眺めているとウトウトとし始め、眠り始めた。
「名前はどうしたいんだ?」
「さあ…よく解らないわ。ジョージの事そういう風に見た事なかったんだもの」
「だろうな。名前はビルしか見てないからな」
「からかわないでよ」
ニヤッと笑ったチャーリーにパンチをすると掌で受け止められる。
力の入っていないパンチは小さな音を立てた。
「まあ、別にジョージが気にしてないんなら良いんじゃないか?」
「…うん」
「気になるんだったら考えてやれば良い」
「そうね…そうしてみる」
ドラゴンの模型が火を吹いたのをギリギリで避ける。
模型なのに火を吹くなんて改めて魔法界は凄い。
魔法界に身を置いて何年も経つけれど知らない事はまだある。
「シャロンは元気か?」
「元気よ。休暇で家に居るんだもの、会いに行けば良いじゃない」
「あー…そうだなぁ」
「友達なんでしょう?」
チャーリーは曖昧に頷いて私の頭を撫でた。
(20121120)
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