日刊予言者新聞を見て私は思わず声をあげた。
エジプトでウィーズリー家が過ごしている写真。
ウィーズリー家全員がにこやかに手を振っている。
笑顔のビルを見て私自身も嬉しくなった。
それと同時に会いたい気持ちも膨らむ。
今年は会えるかどうか解らない。
息を吐いて気持ちを切り替えて私は学校から届いた手紙を取った。
教科書リストには早いからO.W.Lの結果なのは間違いない。
気合いを入れて開封し、文字を確認する。
ざっと目を通してホッと息を吐いた。
早くビルに知らせる手紙を書かなければ。
数日後、教科書リストとビル、シャロンからの手紙が届いた。
真っ先にビルの手紙を開くと褒めてくれている言葉が並んでいる。
嬉しくて思わずチェシャーを抱き締めた。
私は一歩ビルに近付けただろうか。
シャロンの手紙に書いてあった待ち合わせの場所に行くとなんとハリーが居た。
二人で紅茶を飲みながら話している。
「名前!こっちよ!」
「お待たせ。ハリーとも約束してたの?」
「偶然会ったのよ」
「僕、今漏れ鍋で過ごしてるんだ」
ハリーが話し始めたのを聞いて私は開いた口が塞がらなかった。
おばさんを膨らませてしまっただなんて、とんでもない。
けれどハリーの親戚の話は知っていたし、何とも言葉が出なかった。
「そういえば名前、誕生日にクッキー有難う」
「あ、届いたのね?ヘドウィグがちょうど来てくれて、賢い子だわ」
「自慢のペットだよ」
にっこり笑ったハリーと一旦別れて買い物に出る。
シャロンと二人手際良く必要な物を買っていく。
やはり時期が時期だからかダイアゴン横丁は賑やかだった。
「名前、シャロン」
「ハリー!やっぱり貴方も見に来たわね」
「僕、一度で良いから乗ってみたいんだ。シャロンは?」
「私もだわ」
二人で盛り上がる視線の先を見て納得する。
ファイアボルト、新しく発売された箒だ。
流石に最高級の箒だけあって桁が凄い。
先程よりもかなり混んできたのでシャロンとハリーを引っ張ってその場を離れる。
ハリーと別れて漏れ鍋からシャロンの家に行くとチェシャーが来ていた。
私を見るなり真っ直ぐに飛んで来て足を差し出す。
「ビル?」
「あ、違うみたい。チャーリーから。これはシャロンにって」
シャロン宛の手紙を渡して自分の分を開くとO.W.Lお疲れ様のカードが入っていた。
去年監督生のお祝いを遅れなかったお詫びの言葉もある。
シャロンの方を向くととても嬉しそうにカードを眺めていた。
本当にそういう関係じゃないのか、ただお互い素直じゃないのか。
(20121112)
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