大広間を出た私はうんと伸びをした。
試験はなくなったけれど、O.W.Lはなくならない。
シャロンは横で終わったと大喜びをしている。
皆が遊んでいる中で勉強をするのはシャロンにはかなりのストレスのようだった。


「名前、シャロン」

「お疲れ様。俺達と遊ばない?」

「フレッド、箒貸してよ。私飛びたくてウズウズしてるのよ」

「え?おい、シャロン」

「行くわよ!」


フレッドはそのままシャロンに引き摺られて消えていく。
きっとシャロンはとことんフレッドを付き合わせるだろう。


「ジョージはどうするの?」

「俺は…名前と過ごす」

「あら、私図書館に行くつもりなんだけど、それでも良いの?」


ジョージは一瞬眉を寄せてから頷く。
隣に並んで歩き出すと違和感を感じた。
違和感の正体を知る為にジョージを見上げる。
見上げる?と首を傾げて私はやっと気付く。


「ジョージに追い越されちゃったわ」

「え?あ、本当だ」


追い越されたと言っても僅かな差だ。
けれどきっと直ぐにその差は広がるだろう。
ジョージを見上げるのはまだ慣れないけれど。
ふと目線を下げるとプラチナ・ブロンドが此方に近付いてきていた。


「ハイ、ドラコ」

「名字…にウィーズリー」


ドラコはジョージを見て目を細める。
ジョージは無言で真っ直ぐドラコを見つめ返す。
そういえばこの二人は接点があるのだろうか。
夏休みにダイアゴン横丁で会ってはいる筈。


「確かO.W.Lだろう?余裕だったんだろうな?」

「どうかしら?手応えはあるけど」

「ふん、無様な成績だったら笑ってやる」

「名前が無様な成績なんて有り得ない」

「お前には聞いていない、ウィーズリー」


ドラコとジョージは睨み合いを始める。
お互いに純血同士、ドラコの好きな純血だというのに。
ジョージの手とドラコの手を握って順番に顔を見る。


「名前?」

「名字?」

「こんな日に喧嘩は駄目よ。はい、握手」


二人の手を近付けると二人とも凄い勢いで手を離した。
そしてお互いに存在は気にしない事にしたらしい。
決して顔を見ないようにとそれぞれ顔を逸らしている。


「私達は図書館へ行くんだけど、ドラコも来る?」

「名前!」

「僕は遠慮する。お前一人ならまだしも…それじゃ」


最後にジョージを睨んでからドラコは歩き出した。
ドラコの選ぶ本はなかなか面白いから誘ってみたのだけど。
ドラコの背中を睨んでいるジョージの手を引っ張る。
眉が寄ったままなのに苦笑いを浮かべて人差し指でジョージの眉間を撫でた。


「残念だわ」

「なんでマルフォイなんか誘うんだよ」

「あまりドラコを嫌わないで?あれで良い子なのよ」


ムッとするジョージの手を引いて図書館までの道程を歩く。
試験前はあんなに混んでいた図書館も今はとても空いている。
本を何冊か選ぶと横から腕が伸びてきて本を奪う。
どうやら持ってくれるらしくお礼を言うとやっと笑ってくれた。
お気に入りの窓際の席に座ると向かい側にジョージが座る。


「名前、本好きだね」

「好きよ。ジョージも読んだら?」

「うん…気が向いたら」


ジョージがパラパラとページを捲るのを見て手元の本に目線を落とす。




(20121112)
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