談話室の隅に皆で座っていても何も話さない。
私の手はずっとシャロンが握っている。
人は沢山居るのに談話室はとても静かだった。
やがてフレッドとジョージが上がっていくのが見えて、後を追う。
手が繋がっているシャロンも後ろを何も言わずに付いて来た。
ノックをしても返事がなかったので扉を開くと二人ともベッドに寝転がっている。
二人で名前を呼んでみても返事はない。
けれど、ジョージの瞳がゆっくりと此方を向いた。
「名前、ジニーは純血だ」
「うん」
「名前」
ベッドに近寄ってジョージの手を両手で握る。
いつの間にかシャロンの手は離れていた。
ジョージは空いている腕を目の上に置く。
何と言って良いか、ジニーは無事なのか。
どうしてこんな事になってしまったのか解らない。
もっとちゃんとジニーを気にかけてあげれば良かった。
フレッドとシャロンもジョージのベッドに来て四人で並んで座る。
本当はパーシーも呼びに行きたかったけれど、ジョージの手は離れない。
今頃パーシーは一人で耐えているだろうか。
夜も遅くなってきた頃、歓声が聞こえてリーが飛び込んで来た。
そして持ってきてくれた報せに三人はホッと息を吐いて私はそんな三人に抱きつく。
「私パーシーに知らせてくるわ!フレッド、ジョージ、名前をお願いね」
シャロンはそう言うと足早にパーシーの部屋へと走っていった。
フレッドとジョージをもう一度しっかり抱き締めてから談話室に降りる。
ちょうど皆が移動している途中で出入り口は大混雑だった。
「ねえ、二人とも、医務室に寄らない?ジニーの顔見たいわ」
「俺達もそう言おうと思ってたよ」
「行こう名前」
両手をそれぞれ握られて大混雑を掻き分け医務室へ真っ直ぐ向かう。
城はあちこちから賑やかな声がしていて、絵画も大騒ぎしている。
医務室に入るとアーサーさん、モリーさんが居た。
二人に挨拶をしてから私はベッドに座っているジニーに思い切り抱き付く。
「名前、苦しいわ」
「無事で良かった。ジニー、怪我は?」
ふるふると首を振るジニーをもう一度抱き締めた時、パーシーが現れた。
ジニーを確認してからペネロピーをこっそりと見たのに気付いたのは私だけだろう。
「ジニー、私達宴会に行くの。行けそうかしら?」
「大丈夫よ」
アーサーさん達と挨拶をして、パーシーにウインクを送って医務室を出た。
私はジニーと手を繋いで、その後ろを双子が着いてくる。
それだけの事だけれど今はとても幸せだった。
大広間は正にお祭り騒ぎで入った瞬間紙吹雪が振ってくる。
後ろからフレッドとジョージが降らせていて、ジニーと顔を見合わせて笑った。
色んな言葉が飛び交う中を歩いてシャロンが取ってくれていた席に座る。
シャロンもジニーを抱き締めて、ジニーの顔が真っ赤に染まっていた。
「フレッド、ジョージ、何か楽しい悪戯をして?」
「良い案だ名前!」
「任せろ!」
「期待してるわ」
二人は張り切ってごそごそと準備をし出す。
その時ハーマイオニーが帰ってきて、声を掛けると彼女はふんわりと笑顔を返してくれる。
とにかく楽しくて、フレッドとジョージが花火を打ち上げるのにも声を出して笑った。
(20121109)
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