ビルが送ってくれた闇の魔術に対する防衛術の本はとても面白い。
試験にもきっと役立ちそうな内容で勉強にもなる。
ロックハート先生の書いた本よりかなり役に立つ。
先生をどうこう言いたくはないけれど、言いたくもなる。
闇の魔術に対する防衛術の時間は良い読書と自習の時間だった。


「名前、何読んでるの?」

「ビルに貰った本よ。シャロンも読む?」

「…遠慮しておくわ」


シャロンの苦い顔に笑いを零してページを捲る。
ロックハート先生にはもっと有意義な授業をして欲しい。




ロックハート先生は移動の時も何か話していて私とシャロンはわざわざ一番後ろを選んだ。
ファンは相変わらず熱心に聞いているけれど大半の生徒はもう聞いていない。
ただでさえO.W.Lを控えていて皆ピリピリしているのだ。


「付き添いは安全だけど、自由に歩けないのは嫌だわ」

「シャロンは飛びたいんでしょう?」

「そうよ。フレッドに箒貸りる約束してたのに」


怨めしそうに窓の外を眺めたシャロンの肩を叩く。
不意にばっちりと薄い青色の瞳と目が合った。
笑顔で手を振るとドラコは片眉を上げて返事をする。
隣に女の子が立っていて、凄い目で此方を見ていた。


「ねえ、シャロン、ドラコの隣の子誰?」

「あぁ、パンジー・パーキンソンよ」

「パーキンソン?あの子ドラコが好きなのかしら」

「どうかしら。マルフォイ家は名家だから、色々と寄ってくると思うわよ」


ドラコに目を戻すともう後ろ姿しか見えない。
先程此方を睨んでいたパンジー・パーキンソンはドラコの腕に抱き付いている。
あの子は確かハリーがガールフレンドだと言っていた子だ。
ドラコは否定していたけれど、もしかしたら満更でもないのだろうか。


「まあ、純血主義者同士お似合いじゃないかしら」

「やっぱりあの子も純血主義なのね」


くるりと振り返ったドラコと目が合った。
その瞬間ぶんと腕を振ったせいでパーキンソンが吹っ飛ぶ。
隣ではシャロンがお腹を抱えて笑っている。


「シャロン、行くわよ」


引っ張って歩き出してもまだ笑ったまま。
そのまま手を引いて呪文学の教室に入るとロックハート先生はにこやかに去っていく。
呪文学はとても好きな科目だからそんな事もあまり気にならない。
笑いが収まったらしいシャロンが教科書を開くとフリットウィック先生が入ってきた。


復習の為にとあちこちで呼び寄せ呪文が唱えられている。
問題のない私はフリットウィック先生に守護霊の呪文を教えて貰う。
どうやらビギナーズラックだったらしく、あれ以来成功しない。
ひたすら呪文を唱えていても銀色の靄が出るだけ。
授業の時間ももうすぐ終わってしまう。
もう数回もないという時にやっと銀色の鼬が出てきた。


「素晴らしい!グリフィンドールに5点!」

「有難う御座います、先生のお陰です」


にこにこと笑い合っていた時、マクゴナガル先生の声が響き渡った。
フリットウィック先生も生徒も慌てて教室から飛び出してそれぞれ歩き出す。
シャロンがしっかりと私の手を握って歩く。
談話室に入るともう既にグリフィンドール生全員居るんじゃないかという程。
やがて入ってきたマクゴナガル先生の話を聞いて全身が一気に冷えた。




(20121109)
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