クィディッチの試合が中止になり、寮から出られなくなった。
ハーマイオニーとペネロピーが襲われたという。
スリザリンは襲われていないと騒ぎ出した皆から離れた場所に居たパーシーの隣に腰を下ろした。
これでもかという位青ざめているパーシーの腕を軽く引く。
意外にも簡単に揺らいだパーシーの体を受け止めた。
私より背の高いパーシーの頭を撫でて、ぎゅっと抱き締める。
「パーシー」
「…名前」
何と言って良いか解らず、パーシーの背中をトントンと叩く。
あんなに仲良さそうに笑い合っていたのだ。
耳元で私の名前を呟いた声が痛くて何だか切ない。
幸い、ハーマイオニーもペネロピーも石にされただけ。
暫くそうしていたけれど、不意にパーシーの体に力が入った。
抱き締めていた体を離すと相変わらず青ざめている顔が目に入る。
けれど、パーシーは腕を持ち上げて私の頭を撫でた。
「パーシー?」
「名前、今まで以上に気を付けるんだ」
「うん」
「僕は部屋に戻るよ。有難う」
ふんわりと微笑んだパーシーはしっかりとした足取りで階段を登っていく。
早く、ペネロピーが帰ってきてくれれば良い。
背もたれに体を沈めて談話室を眺める。
皆話題は秘密の部屋についてだ。
ハリーとロンは部屋に居るのか姿が見えない。
ふと、目の前にユニフォーム姿の二人が現れた。
「名前、ジニー見てない?」
「見てないわ。居ないの?」
「んー…談話室には居たらしいんだけど姿が見えないんだよ」
「部屋かしら。見てくるわ」
二人に手を振って女子寮への階段を登る。
後ろからバタバタと足音が聞こえてドアが閉まる音がした。
あの場所は確かハーマイオニーの部屋。
気になってノックをしてみるけれど返事がない。
ドアを開けて中に入るとハーマイオニーのベッドに赤毛が見えた。
「ジニー?」
ビクッと大きく反応したジニーは可哀想な程青ざめている。
隣に座って震えている小さな体を抱き締めた。
「ジニー、大丈夫よ。ハーマイオニーはちゃんと戻ってくるわ」
「…名前、私恐いわ」
「大丈夫。ジニーにはお兄ちゃん達も私も、それにハリーも居るわ」
小さく頷いたジニーはぎゅっと両手を握りしめている。
頭を撫でていると少しずつ力が抜けていくのが見えた。
「名前も…襲われちゃうのかしら」
「あら、私これでも優秀なのよ?」
「知ってる、けど」
「顔色が悪いわね。ちゃんと眠れてる?」
首を振ったジニーと部屋に行ってジニーが眠るのを見届ける。
隠れ穴に居た時はあんなに元気一杯だったジニー。
今は不安そうにして少し窶れているように見える。
入学していきなりこんな事件があれば不安も大きくなる筈。
あんなにホグワーツを楽しみにしていたジニーなのに。
赤毛を撫でて談話室へと降りると待ち焦がれていたらしい双子とシャロンが居た。
ジニーの無事を告げると双子の顔がホッと緩む。
(20121109)
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