「名前ー」
「治して」
おできだらけになったフレッドとジョージが駆け寄ってくる。
またか、と思いながら杖を振っておできを治す。
ジニーを励まそうと色々やるのは良いけれど方法が間違っている。
二人が色々やってくれるのは嬉しいけど辞めて欲しいとジニーが言っていた。
溜息を吐いて二人の顔を確認するとおできは綺麗に消えている。
そもそも、パーシーが辞めさせた筈なのだけど。
「いい加減辞めなさい」
「俺達、ジニーを脅かしてなんかいないさ」
「名前にベタベタしたいだけでしょ?」
「シャロンだってそうだろ?」
「私は友達だから良いのよ」
にこにこ笑って二人は私とシャロンを挟んで歩き出す。
励まそうとしているのでなければ治して貰う為にそうしているのだろうか。
面倒なのでそれは出来るなら辞めて欲しいのだけど。
隣のフレッドを見るとにっこりと笑顔を返された。
「そういえば、決闘クラブ行く?」
「私は行こうって言うんだけど、名前ったら行く気がないのよ」
「えー!行こうよ名前」
「決闘は興味がないんだもの。それに、教えるのはきっとロックハート先生よ」
私の言葉に三人は一瞬黙り、それでも誘う事を止めない。
結局連れてこられてしまった私は後ろの方で予想通り現れたロックハート先生を眺めていた。
スネイプ先生が助手として現れたのはかなりの予想外だったけれど。
武装解除の術はもう私は習得していたので時間の無駄だったと思わざるを得ない。
フレッドとジョージがお互いに術を掛け合っているのを見ながら息を吐く。
「名前、いつの間に出来るようになったの?」
「ビルに教えて貰ったの。色々教えて貰った中にあったのよ」
「それなら出来て当たり前だわ」
「ビルは優秀だもの」
飛んできたシャロンの杖を受け取りながら言う。
杖を返しに歩いていくとフレッドの杖が飛んできた。
それをキャッチしてフレッドに差し出す。
その時、ハリーとドラコが呼ばれるのが聞こえた。
どうやらあの二人が掛け合うらしい。
「あら、ドラコだわ」
「マルフォイ?」
指差した先に立つハリーとドラコに三人も注目する。
ドラコは笑い続けているしハリーは踊り続けていた。
絶対違う呪文を掛けているのは目に見えて明らか。
ドラコが呪文を唱えるのは初めて見たけれどやはり彼は頭の良い子なのだ。
「蛇も出せるのね、ドラコ」
「さすがスリザリンよね」
「私も出来るかしら」
「名前なら出来るさ」
ドラコの唱えた呪文を心の中で反芻する。
いきなり途端に大広間中が静かになった。
ハリーがシューシューという音を出している。
「パーセルマウス」
シャロンがボソッと呟いた言葉にフレッドとジョージが顔を見合わせた。
(20121030)
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