クィディッチはグリフィンドールが勝った。
ドラコが怒られているのを見て声を掛けたけれどしょんぼりしたまま。
きっと負けたのはハリーのせいだと思うだろう。
一方ハリーは腕の骨を再生させなければならなかった。
フレッドとジョージは狂ったブラッジャーを押さえようとして傷が出来ていたし。
ドラコへの励ましの手紙を書きながら出来事を思い返して溜息を吐いた。
そういえば、ドラコが気に入ったクッキーがあるからそれも一緒に送ろう。
素直に受け取ってくれるかは解らないけれど。
「名前ー」
「はぁい」
「ねー名前ー」
「何?」
両側にずっと乗っている二つの赤毛の頭。
ドラコへの手紙に眉を寄せてからずっとこの状態だった。
だからと言って何かを言うでもなく私を呼ぶだけなのだけど。
気にせず書き終わった手紙をチェックして封をした。
チェシャーはエジプトに居るし、ヘルメスを借りようか。
でもパーシーが何処に居るか解らないしペネロピーと居たら邪魔になってしまうし。
うーん、と考えていたらリーが慌てて談話室に駆け込んで来た。
「おい、聞いたか?グリフィンドールの一年生が襲われたって」
「リー、それ誰?ジニーじゃないわよね?」
「コリン・クリービーだよ。石になったって話だ」
フレッドとジョージが抱きつこうと動いたのを立ち上がって避ける。
お互いに抱きついている二人は両想いだななんて笑い合う。
けれど、そのまま談話室の出口に向かう私に慌てて追いかけてくる足音。
聞こえたのは一つだけで、嬉しそうな声が聞こえたので納得した。
「名前、何処に行くんだ?」
「梟小屋よ」
「俺も行く」
隣に並んだジョージと廊下に出ると冷たい風が吹き抜けていく。
寒いからか廊下にはあまり人が居らず閑散としている。
雪が降るのも多分時間の問題だろうという程の空の色。
秘密の部屋の関係だろうか、皆誰かと一緒に歩いている。
そういえば、コリン・クリービーは確かマグル出身だ。
「継承者の敵ねぇ」
「ああ、秘密の部屋の?」
「うん。ドラコはマグル生まれだって言っていたけど」
「名前は俺達が守るよ」
継承者の敵が襲われるというのならパーシーやフレッドやジョージは大丈夫だろう。
シャロンとロンと、ハリーは微妙なところだけれど、問題はハーマイオニーだ。
ロンとハリーが一緒に居るから大丈夫だとは思う。
一番はもうこれ以上誰も襲われない事なのだけど。
私自身もマグル生まれだから充分に気を付けなければいけない。
「名前、聞いてる?」
「え?」
「聞いてないし」
いきなり目の前に顔が現れたと思ったら引っ込んで拗ねてしまった。
けれど、それは一瞬の事で、直ぐににっこりと笑う。
「俺が守るよ!」
「頼りにしてるわ」
まだ私よりも少し低い位置にある頭を撫でるとまた拗ねる。
最近のジョージは少しだけ難しい。
(20121026)
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