クィディッチの練習で泥だらけになったり火トカゲに花火を食べさせたり、はたまた課題の途中で眠ったり。
フレッドとジョージは相変わらず自由で、そんな二人にパーシーは声が枯れている事が多かった。
ハロウィンの今日もあちこちで多分悪戯をしているのだろう。
やたら話しかけてくるギルデロイ・ロックハートから逃げている私はハロウィンどころではない。
彼はどうしてあんなに空気が読めないのだろうか。
「あ、ドラコ」
「…」
「ドラコー!」
少し離れた所に立っているドラコに手を振ると気まずそうに顔を逸らされた。
気にせずに近付いていくとやっぱりいつもみたいに後ろにはクラッブとゴイル。
そういえば彼等の声は聞いた事がない。
「ハイ、ドラコ」
「僕に怒っているんじゃないのか」
「あら、何を?」
「…」
「ドラコ、トリック・オア・トリート」
にっこり笑って手を差し出すとドラコは私の手にキャンディーを一粒乗せた。
驚くのは私の方でキャンディーとドラコを見比べる。
片眉を上げて此方を見ているのがなんだか可愛くて抱き付く。
「なっ、ちゃんと渡しただろう!」
「だって、可愛いんだもの。ドラコがお菓子くれたの嬉しいわ」
「こうならないように用意したんだ!」
抵抗はするけれど無理に離れようとはしない。
それがまた嬉しくて力を込める。
ドラコを離してクラッブとゴイルの手に一つずつチョコレートを乗せた。
ムッとしているドラコの手にもチョコレートを乗せる。
「おい、僕は言ってないぞ」
「あげるから悪戯はなしよ。またね」
ドラコは今年もチョコレートを見詰めていたけれど、手を振って次の授業へ向かった。
大広間に入ると既に賑やかで皆を探すの大変に思える。
けれど、遠くの方で手を振っているフレッドとジョージが見えて近くに皆が居た。
「名前、トリック・オア・トリート!」
二人で声を揃えて同じように笑って同じように差し出した手の上にチョコレートを乗せる。
「名前、偶には悪戯どうだい?」
「遠慮しておくわフレッド」
「俺からは?」
「ジョージからも遠慮しておく」
つまらないと文句を言う二人を放ってジニーにもチョコレートを渡す。
シャロンはどうやらウッドに捕まっているらしい。
楽しそうなウッドの声がしていて、シャロンは半分聞き流しているようにも見える。
「オリバーは相当シャロンがお気に入りらしいぜ」
「そうみたいね」
「結婚申し込むかもしれないぜ」
「フレッド、それシャロンに言ったら怒られるわよ」
間違いないと笑ってフレッドはジニーとパンプキンパイをかじりだす。
私も食べたくなって机を見渡すとすかさずジョージが差し出してくれた。
パーティーが終わって皆が廊下に出るのを見送りながらジニーを探す。
何処へ行ってしまったのか解らない。
無事に寮へ戻っていれば良いのだけれど。
「駄目だ。見つからないよ」
「こっちもだ」
「二人とも有難う。寮に居るかもしれないし戻りましょう」
二人と並んで歩き出すと廊下に人集りが出来ていた。
不思議に思って近付いていくと、吊られているミセス・ノリスが見える。
「次はお前達の番だぞ、穢れた血め!」
ドラコの声がして殆ど反射のようにフレッドとジョージが私の手を握った。
ハリー、ロン、ハーマイオニーが連れて行かれるのを皆がただ見ている。
二人と顔を見合わせて急いでジニーを探そうと談話室へと急ぐ。
(20121023)
99