家の前の雪を溶かしている名前の姿を見つけて名前を呼ぶ。
気付いた名前が顔を上げて大きく手を振る。
反対側から雪を溶かしながら進んでいく。
目の前の雪を溶かし終えると四ヶ月ぶりに会う名前にやっと近付けた。
「こんにちは、ビル」
「こんにちは」
「それから、お帰り」
ただいまと答えると名前は家の中へ入れてくれる。
久しぶりに入る名前の家は相変わらずだった。
クリスマスツリーも飾っていないいつも通りの部屋。
紅茶とクッキーを用意する名前を手伝って向かい合って座る。
「ねえ、どうして名前がレイブンクローだったって僕には教えてくれなかったの?」
「言ってなかったっけ?」
「聞いてない。チャーリーから聞いた」
ホグワーツから家に帰って何かの会話の合間だった。
チャーリーがボソッと言ったのが名前の寮の事。
別にチャーリーが知ってたって良いとは思う。
でも、僕だってホグワーツの事を聞いたのにどうして教えてくれなかったのか。
なんだか面白くなくてチャーリーと喧嘩して怒られてしまった。
「ごめんね。話すのを忘れていたみたい」
頭を撫でられて面白くなかった事がどうどもよくなる。
寮の話を聞くまで名前に話したい事があったのを思い出した。
手紙じゃ書ききれない事が沢山ある。
頷きながら聞いてくれる名前に色んな事を話す。
グリフィンドールの事、魔法薬の授業の事、クィディッチの事。
「楽しそうで良かった。でも、クリスマスのホグワーツは見なくて良かったの?」
「うん、名前に直接話したかったから」
にこにこ笑う名前を見るだけで元気になれる。
勿論家族に会いたかったけど名前にも会いたかった。
そう言ったら名前はにっこり笑って嬉しいと言ってくれる。
やっぱり帰って来て正解だった。
「そういえば、名前は帰ったりしないの?」
「んー……そうね。魔法薬を作っていたから」
「今日も作るの?」
「ちょっと様子を見るくらいよ。見に行く?」
頷いて名前と一緒に部屋を移動する。
大鍋の中で煮込まれている魔法薬は今は何の匂いもしない。
名前が様子を見ながらどんな魔法薬か教えてくれる。
あと一ヶ月煮込んだら完成らしい。
だから家には帰れないんだって名前が言う。
家族に会えないのは寂しいけど、魔法薬を作っているなら仕方が無いのかな。
「ああ、そういえばモリーさんに頼まれてたんだった。ビル、これを渡してくれる?」
「何、これ」
「元気爆発薬。聞いたことない?」
そういえばマダム・ポンフリーに飲ませられた子が耳から煙を出していた。
名前はマダム・ポンフリーから教えて貰ったらしい。
これを弟達の誰が一番最初に飲むのか気になる。
耳から煙を出していたらフレッドとジョージが喜びそうだ。
特にそれがパーシーだと喜んでからかいそう。
「ママに渡すのは良いけど、名前もおいでよ」
「でも、突然行ったら困っちゃうわ」
「大丈夫だよ。ママに名前を招待しなさいって言われた」
名前は少し悩んでから笑って解ったって僕の頭を撫でた。
名前が準備をしている間、名前の梟に水をやる。
でも梟は寝ているようで水を見ようともしなかった。
(20150725)
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