ビルがホグワーツに出発して少し経ったある日、モリーさんのお手製サンドイッチを手にチャーリーがやってきた。
やっと来られたのだと言うチャーリーは魔法薬作りをキラキラした目で見ている。
初めてこの家に来たビルも同じ様な目をしていたな、と思い出して顔が緩む。
もしかしたら私にもキラキラした目で見ていた事があったかもしれないけれど忘れてしまった。
ビルやチャーリーを見ていると少しだけ昔のわくわくした気持ちを思い出せる気がする。
だからビルやチャーリーと話すのはとても楽しい。


「チャーリー、そこの瓶を取ってくれる?」

「はい」

「有難う」


出来上がった薬を瓶に詰め栓をすると鍋を綺麗にした。
まだまだ作る予定はあるけれど空腹感もあるし、お昼の時間も近い。
チャーリーも居るし、少し早いけれどお昼ご飯にしようか。
今日はモリーさんのサンドイッチがあるから作らなくて済む。
一緒にキッチンに移動して昼食の準備をする。


「ジュースとお水どっちが良い?」

「ビルはいつも何を飲むの?」

「ジュースかな」

「じゃあ、ジュース」


ビルの事を聞くのはお兄ちゃんが大好きだからなのか、それとも負けたくないのか。
私には上の兄弟は居ないからよく解らない。
サンドイッチをかじるチャーリーを見ながらビルを思い出す。
ビルは食べながらもよく話していたけれどチャーリーはとにかく食べる事に一生懸命だ。
頬についたマヨネーズを拭いてあげるとお礼を言ってまたサンドイッチに向かい合う。
サンドイッチを食べ終えるとチャーリーはジュースを飲み干して自分でお代わりを注いだ。


「そういえば、ビルから手紙が届いたの」

「家にも届いたよ。グリフィンドールだってママが喜んでた」

「確か、貴方のパパとママはグリフィンドールだったわね」


隠れ穴に遊びに行った時、モリーさんが照れくさそうに、でも嬉しそうに話をしてくれたのを思い出す。
その時から今まで、今もあんなに仲が良いなんてとても羨ましい。


「グリフィンドールって、そんなに良い寮なの?」

「さあ……私はグリフィンドールじゃなかったから」

「名前はどの寮だったの?」

「私はレイブンクロー。知ってる?」


首を傾げて少し考えた後、チャーリーは頷いた。
どんな寮?と聞くチャーリーに説明をする。
ハッフルパフとスリザリンの説明もするけれど、余り他の寮の事は解らない。
場所も合い言葉も秘密、普段の生活も別。
という事はビルは私の知らないホグワーツを知るのだ。
少しだけ羨ましいな、と思ってみたりする。


「僕は何処になるかな」

「チャーリーは何処が良い?」

「……解んない。でもパパもママも僕がグリフィンドールだったら良いと思ってるよ」

「うん、そうね」


小さな頭を撫でると一瞬きょとんとしてから笑顔を浮かべた。




(20150423)
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