駅に着くと家族が待っていると思っていたのに、名前だった。
友達に手を振って名前のところに走ると名前がお帰りと言って笑った。


「どうして名前が?」

「それがね、ジニーが熱を出しちゃって」
「えっ」

「薬を飲んだから大丈夫よ。でもジニーを置いては来れないでしょう?」


だから代わりにって言いながら名前がトランクを持つ。
ホームから出るとマグルばかりで自分の格好が気になってくる。
名前は他のマグルと変わらない格好だった。


「ビル、ちょっと寄り道しても良い?」

「うん、僕は良いけど」

「モリーさんにはちゃんと言ってあるわ」

「じゃあ大丈夫」


駅を出て進んで行くと着いたのは見た事がある場所。
扉を開けると前にも来た事がある漏れ鍋だった。
名前の真似をして店主のトムに挨拶をして奥に進む。
決まったブロックを杖で叩くとブロックがどんどん広がっていく。
その先にあるのはダイアゴン横丁。


「トランクは先に家に送りましょうか」


名前がトランクに杖を振ると消えてしまった。
家に送ったんだと思うけど、本当はどうなんだろう。
そういう呪文があるのかもしれないけど今の僕には解らない。
トランクの心配をしていたら目の前に手が差し出された。


「迷子にならないようにね」

「うん。何を買いに来たの?」

「魔法薬の材料を。足りなくなった物があるのよ」


手を繋いでダイアゴン横丁を歩き出す。
一年前に来た時とあんまり変わらない。
今日も人は多いし面白そうな店も幾つかある。
前に来た時は買う物が沢山あったからゆっくり見られなかった。
早足で歩くママに着いていくのが大変だったのを覚えてる。


魔法薬の材料を買って、名前はそれも先に家に送った。
用事は済んでしまったからもう帰る時間になる。
もう少し店を見たいと思うけどお金も持ってないしパパもママも居ない。


「ビル、疲れてない?」

「大丈夫だよ」

「元気ね。じゃあもう一ヶ所付き合ってくれる?」

「うん」


また手を繋いでダイアゴン横丁を歩く。
新商品の箒に人が集まっているのが見える。
商品名は人がたくさん居て見えなかった。
次に目に入ったのはアイスクリーム・パーラーで、皆美味しそうに食べている。
突然名前が立ち止まった。
良いな、って思ったのがバレてしまったかもしれない。


「モリーさんや、皆には内緒よ」

「え?」

「どれにする?」


信じられない気持ちと嬉しい気持ちでいっぱいになる。
どれも美味しそうで悩んでしまう。


「何で悩んでるの?」

「苺とバニラ。どっちも美味しそうだよ」

「じゃあ、二つ頼んで半分こしましょう」

「良いの?」

「私、苺もバニラも好きだから大歓迎よ」


テラスに座って待っていると名前がアイスクリームを二つ持って戻ってくる。
苺を受け取って食べてみるとやっぱりとっても美味しかった。
ママと来た時にはきっと買って貰えない。
パパなら、もしかしたら買ってくれるかもしれないけど。


「そういえば、テストはどうだった?」

「うん、多分大丈夫。僕頑張って勉強したんだよ」

「そう、良かったわ」


どんなに頑張ったか名前に知って貰いたくて詳しく話す。
手紙に書いた事も話したけど、名前はずっと聞いてくれた。




(20151006)
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