賑やかな談話室の一角をいつも私は一番離れた場所から眺める。
勿論課題をやりながらだったり友達と喋りながらだったり。
賑やかの中心にはいつもウィーズリーの双子が居ていつもとても楽しそう。
「またあの二人だわ。少しだけで良いから静かにしてくれないかしら」
「でも私はあの二人の悪戯は好きよ。ね、名前?」
「あ、うん、そうだね」
ロッティは迷惑そうな顔をしてキャスは楽しんでいるような顔をする。
私はキャスと同意見だったけれど、ロッティの手前曖昧に微笑んでおいた。
意見が正反対だとしてもロッティとキャスは私の親友。
悪戯さえしなければロッティだってあの二人の事は嫌いではないし。
「でも、あの二人課題やらなくて良いのかしら?この間もスネイプに相当嫌味言われていたじゃない?」
「それすらも楽しむのがあの二人じゃない?放っておけば良いのよ。それよりキャス、字が間違ってるわ」
「やだ!この羽根ペン駄目ねぇ…試作品だって言ってたから仕方無いわね」
キャスの言葉にロッティの顔が険しくなる。
試作品と言う事はきっとあの二人から買ったか貰ったか。
どちらにしても未完成品なのか効果が切れかかっているのか、キャスのレポートは誤字だらけだった。
ロッティが手伝ってレポートを直している間にチラリと賑やかな方を見る。
ちょうど何かが成功したらしく、拍手をする周りの生徒に向かって二人は丁寧にお辞儀をしていた。
見損ねてしまった事は残念だけど、楽しそうな雰囲気を見られたから良しとしよう。
二人の悪戯の発表なら見られる機会は幾らでもあるだろうし。
「あ、」
ボーッと二人がお辞儀をしているのを見ていたら不意に片方と目が合った。
にっこりと笑ったのを見て慌ててレポートへと視線を落とす。
ドキドキと騒ぐ心臓と急速に顔に集まる熱。
こんな不意打ちをされるなんて思わなかった。
まだ落ち着かないけど顔を上げるともう此方を見ては居らず、下級生に商品を勧めている。
フレッドとジョージ、見分けが付かない程似ているけれど、私には見分けが付く。
だってドキドキするのはいつだってジョージ・ウィーズリーに対してだけなのだ。
「名前、どうしたの?気分悪い?」
「あ、ううん、大丈夫」
「ロッティ、名前はジョージを見てたのよ」
「あらそうなの?」
「ちょ、ちょっとキャス」
慌てる私を余所にキャスはにこにこと笑い、ロッティはチラリと二人の方を見て直ぐに手元へと戻す。
離れているから大丈夫だとは思うけど、一応チラリと二人を見ると、相変わらず下級生に商品を勧めていた。
(20131101)
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