ただでさえ青という色で目立つ。
それなのに、はしゃがれては注目の的。
「名前さん、これ!これが良いです!」
アイスクリーム屋さんの前で見た目は良い大人の青い人がはしゃいでいる。
さっきから子供が不思議そうに見ていく。
こっそり溜息を吐くといきなり顔を覗き込まれた。
「名前さん?」
「お金あげるから、買っておいでよ」
そう言ってお金を渡せば嬉しそうにレジへと走っていく。
せがまれるがままに出掛けてしまったけれど、後悔してしまう。
それでもアイスを持って嬉しそうに走る顔を見ると嬉しくなる。
つくづく自分は甘いなぁ、と再び溜息。
横に並んだ顔を見上げて呼べば、柔らかく笑った。
「目的は、アイス?」
「え?違いますよ!俺はただ名前さんと出掛けたかっただけですよ!」
「ふーん」
「名前さんの見る世界を、俺も見たかったんです」
からかうつもりだったのに、笑顔でそんな事を言われては顔を逸らすしかない。
何処までも純粋なカイトに私の心臓が壊れてしまいそう。
(20090225)
視世界