骸の指がするりと首筋を撫でていく。
余りの擽ったさに指を掴んで後ろを向くとオッドアイが笑っていた。


「擽ったい」


訴えに骸は肩を竦める事で答える。
そして簡単に私の手の中から骸の指は逃げた。
再び首筋を撫でる。先程からこれの繰り返し。


「骸、擽ったい」


二度目の訴えには彼特有の笑い声が返ってきただけ。
骸の胸に預けていた背を浮かせようとすると腕に制止される。
甘えたいのかとも思ったけれど、違うらしい。
私の動きに合わせてお湯が揺れる。


「骸?」

「キスマーク、つけて良いですか?」


やっと言葉を発したかと思えばそんな事を耳元で囁かれた。
そんな事を考えながらの行動だったのだろうか。
とりあえず一発と思った肘は簡単に抑えられてしまった。
後ろから余裕そうな笑う気配がして悔しい。
今度こそ離れようと思ったのに失敗する。
それどころか首筋に唇を寄せられた。


「ま、待って、骸」

「嫌です」


そしてチクッとした痛みが走り抵抗は無駄だったんだと知る。
それでも少しだけ嬉しいと思ってしまう。
結局は私は骸の事が好きだから許してしまうんだけど。


「入浴剤が無ければ良いのに」


ボソッ、と私の首筋に唇をつけたまま呟く。
そして再びチクッとした痛みが走った。
唇と共に髪の毛が当たり、擽ったい。
身を捩るとお湯が揺れて少しだけ溢れた。


「このまま此処でシます?」

「しません!」


勢いよく骸から離れたらバシャン、と音がした。




(081001) For カクテルベリーにキス 様
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