逢いたい、と願えば逢える様な気がして仕方が無い。
ぼんやりと空を見上げて光る星を眺める。
今日は七夕、彦星と織姫が出逢える日。
あの人も、彦星の様に逢いに来てくれれば良いのに。
「名前」
懐かしく、とても聞きたいと思っていた声に振り向く。
そこには記憶しているままの姿、オッドアイ。
空の星を映していてとても神秘的だ、と思った。
「骸、さん」
「今晩は」
今は遠くの地で抜け出せず、動けない状態にあるはずなのに。
普段クロームちゃんから気配を感じる事はあるけれど、此処までハッキリと骸さんがいる事は初めてだ。
まるで抜け出して、動いているかのように。
「どうして、此処に?」
「今日は七夕ですからね。名前に逢いに来ました」
「でも、どうやって」
「少し抜け出す位、僕には簡単な事です」
そう言って悪戯に笑う骸さんは確かに骸さんだ。
嬉しさと信じられないという気持ちが共存する中、思い切り抱き着く。
懐かしい骸さんの体温に自然と涙が出た。
「泣き虫ですね、名前は」
「骸さんのせい」
「おやおや、それでは、これで泣き止んで下さい」
言葉の次に重ねられた唇から、愛しさが部屋に広がる。
(20080707)
七つの夜