「雲雀先輩!」


また、煩いのが来た。
毎日毎日彼女も飽きない。
今日は殊更テンションが高い気がする。
理由を聞く気は無いから無視。


「雲雀先輩、これとこれ、どっちが良いですか?」


目の前に差し出されたのは赤と青の色の物。
見た感じ、何かのマスコットみたいだ。
それよりも、読んでる書類の上に置くなんて。


「僕書類読んでるんだけど」

「選んでください先輩」

「君、耳は正常?」


正常ですよ、なんて笑顔で返されてしまった。
全く、鬱陶しいなんて通り越えてしまったみたい。
彼女は選べとばかりに目が輝いている。


「…赤」

「じゃあ、先輩にプレゼントです」

「要らな」

「あげます、受け取って下さい」


無理矢理手の中に押し込まれ変形する哀れなマスコット。
彼女は満足したのかソファに座って自分の鞄を膝の上に乗せた。


「……もしかして」

「はい!先輩とお揃いです!」


手の中で未だ変形しているマスコットを見る。
それから彼女の鞄に付けられたマスコット。
わざわざ休みの日に来てこれを届けに来たのだろうか。


「何なの、君」

「あ、まだでした」

「…」

「雲雀先輩、誕生日おめでとう御座います」


手の中でマスコットが笑った気がした。




(20080505) Happy Birthday
赤と青
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