柔らかそうな髪に手を伸ばして触れる。
するりと滑らかに滑り降りていく。
そんな行動に振り向いた彼女は不思議そうな表情。


「ツナくん?」

「ごめん、つい」

「ううん、良いよ」


柔らかく笑った彼女は再び手元の本へと視線を戻す。
窓から射し込む光は彼女の髪の艶を誇張させる。
読書家の彼女に付き合って図書館に来る様になり一ヶ月。
窓際の奥から二つ目のテーブルがお気に入り。
本を読む横で彼女を眺めているのが好きだった。
彼女の髪はとにかく綺麗でつい手を伸ばしたくなる。


ぱたん、と彼女が本を閉じて此方を向く。


「終わり?」

「うん。帰ろう、ツナくん」


立ち上がり高さが変わったしまい、髪に光は当たらない。
少し残念だけれど代わりに彼女の手を握る。
暖かい彼女の体温が手を伝う事が凄く幸せ。


「名前、また図書館来ようね」

「うん」


その時はまたキラキラと光る髪を眺めているから。




(20080330) For 愛したウェンディ様
金魚に恋した子猫のように
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