赤く彩られた道を歩く二人組の姿。
「いやぁ、結婚式はやっぱり良いなぁ」
隣で呟く人がなんとか紋付き袴に収まったのは今朝の事。
やっぱり一張羅で、と褌で出掛けようとしたのだ。
隊服で充分じゃ無いかと思うのだけれど。
一応、正装になる訳だし、仕事で来ている訳だし。
そんな事を考えながら隣を見て吃驚した。
「近藤さん何泣いてるんですか」
「だって、感動じゃないかっ!」
「…とりあえず、涙拭いて下さいよ」
ハンカチを差し出せば顔を覆って泣き始める。
全く、良い年して、子供みたいな人だ。
これでいざという時に頼りになるのだけど。
とりあえず、落ち着かせる為他の隊士に任せ外に出る。
「名前ちゃん、結婚願望は?」
落ち着いたのか、ふいに問い掛けられる。
「さあ…選り取り見取りですけどね。土方さんは優しそうだし、沖田くんといると楽しそうだし」
「え!俺は!?」
隣で慌てふためいている我等が局長。
なんとなく可笑しくて笑うと更に慌て出す。
「冗談ですよ」
「え?」
「私の気持ちは前に言ったはずです」
襟元を掴んで引き寄せ頬にキスをする。
この人からOKを貰うまでは口にはしない。
(20080306)
隣を歩く人