最近遊馬は凌牙と会っていなかった。遊馬から連絡はするものの、いつもそっけなかったり、凌牙から連絡が来たことがない。
 それがずっと続き、溜まりに溜まったストレスを真月に吐き出していた。
 ただそれだけだったのだ。

「僕で良ければ協力しますよ!」





「はっ……く、やだぁっ!」
「どうしてですか?気持ちいいでしょう?」
「だって!こんなの……おかし…ふぅっ…」

 遊馬は自身を舐める真月の髪を掴みながら訴えた。
 真月に凌牙の愚痴を聞いてもらった後、連れて来られたのはホテルだった。その時点で嫌な予感がしていたのだが、真月に引きずられてしまったのだ。

「んうっ……ふっ…」
「声抑えなくてもいいですよ?」
「ざっけんな…!んっ…」
「へへ、遊馬くん可愛いですね」

 喋る度に口を離し、目を見て喋る真月。そんな真月に自分の醜態を見られているのかと思うと、遊馬は顔を背けた。

「あっ、そうだよね……僕じゃ嫌だよね…」

 そう言うと、真月は遊馬から離れた。遊馬はやっと分かってくれたのかと思い、真月に向き合った。
 しかし、そこには真月はいなかった。むしろ、何も見えなかった。

「あれ?真月…?」
「見えなければ問題ないよね」
「そういうことじゃねぇだろ!」
「あー駄目だよ取っちゃ!」

 真月はずれた目隠し代わりのネクタイを元の位置に戻すと、今度は素早く遊馬のネクタイで遊馬の手首とベッドのパイプを縛った。

「僕は喋らないから、シャークさんのことでも考えていてよ」
「なんだよこれ!はずっ…ああっ!」

 何も見えない。相手が一切喋らない。どこを刺激されるか分からない。この状況は、遊馬の恐怖を募らせた。
 その時、遊馬の蕾に指が入ってきた。見えないその行動に、遊馬は過剰に反応してしまう。

「あっ!い、やぁ!そこっ…嫌ぁ…!ああっ!」
「……」

 たっぷりとローションが塗られたそれは、遊馬の弱いところを刺激していく。いつの間にか、遊馬の口から否定の言葉が出なくなっていた。

「あっ……あ、うんっ…ふっ…」
「……」
「しゃ、しゃーく……もう…っ!」

 そう言うと、目に光が飛び込んできた。眩しくて目を細めたが、遊馬は現実を思い出してしまった。
 そこに恋人の凌牙はいない。目の前にいるのは、仲間の真月であることを。

「あっ……ああ…」
「ごめんね。やっぱり他の人の名前呼ばれたらさ、苛めたくなっちゃった…」

 真月は意地悪そうな笑みを浮かべると、遊馬の中に一気に自身を埋めた。

「あああああっ!!や、だぁ!やめっ…あっ!ああっ!しゃ、く……はぁっ!」
「まだシャークさんの名前呼んじゃう?今遊馬くんを犯してるのは僕なのに…」
「やっめ…やめてぇ……あんっ!」
「ねぇ、気持ち良いでしょう?」
「良くなんかっ…!あああっ!はっ、激し……っ!嫌…っだ、ああっ!や…っ!いやぁ!」

 自分を主張するように、真月は遊馬くん、遊馬くん、と呼び続け、中に熱を放った。





「なんだ遊馬。今日は遅…」
「あ、シャークさんですか?」
「……誰だお前」
「駄目ですよー?ちゃんと恋人は愛さなくちゃ」
「おい!お前遊馬に何かしやがったのか!」

 声量が大きいため、音割れを起こしている遊馬のDゲイザーの電源を切ると、真月はそれを遠くのソファーへ投げた。
 無事着地したのを見ると、真月は気絶してしまった遊馬に抱きついた。綺麗に洗われた肌を、真月は愛しそうに撫で続けた。



12/10/21
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