片桐大介と出会ったのは遊馬と接触してすぐのことだった。彼とは私が追っているバリアン達が操っていた時に初めて会ったはずなのに、何故か彼は私を覚えていた。

「今度久しぶりに休みが取れそうなんだ」
「それは良かったですね。いつも働き詰めですもの。ゆっくり出来ますね」

 私が笑うと彼は優しい笑みを見せる。この薄っぺらい私の笑顔を彼は好きだと言う。

「休みが取れたら連絡するから、もし良かったら何処かへ行かないかい?」
「ええっ!?せっかくのお休みなんですよ?」
「休みだからだよ。君と過ごす時間が欲しいんだ」

 私の手を取り彼は言う。少しキザだったかなと言って照れながらも、握った手を離そうとはしない。

「好きだよ」

 繋いだ手がほどかれると、ぎゅっと抱き締められる。彼の大きな胸にすっぽり収まってしまい、顔を彼の胸に埋めるしかなかった。

「はい。僕も大好きです」

 本当の私を知った時、彼は私の元から離れて行くのだろうと思うと胸がずきりと痛んだ。



訂正:「片桐大輔」→「片桐大介」
13/02/08
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