「好きです」

それを聞いて、嬉しいと思った。でも同時に泣きたくなった。

「え、でもお前…十代とは…?」
「…十代さんとは半年前に別れました。『やっぱり、一番にできない。忘れられない人がいる』って言われて…」

カイザーのことか…。やっぱり十代はまだ過去から抜けられないらしい。だが目の前の遊星は違った。前に付き合っていた十代と別れたことを淡々と話しているし、どうやら気の迷いの告白ではないらしい。

「ヨハンさん」

遊星が好きだった。でも、その気持ちは遊星と十代が付き合うって聞いたときに捨ててきたはずだった。

「好きです」
背中に回された腕が、オレを呼ぶ声が、五感で感じるもの全てが、目の前の現実を感じさせる。そして同時に、捨てたくても捨てられなくって、抑え込んでいた気持ちが浮上する。

「本当、お前はズリィよ」


12.06.22 ※自身のブログから移動させた話のため、ブログに投稿した当時の日付となっています。
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