「もごもご…」
「……」
「遊星あーん」
「あ」

「……何やってんだアイツらは…」

 今日の配達は何故かとても少なかった。給料日前だからだろうか。きっと明日から数日は量も増えるし、平気で万札とか出してくるやつがいるだろう。
 まあそれはともかくだ。今日は早く帰ってこれた。もう上がっても良いよと言われ、久しぶりに遊星達に温かい昼飯でも作ろうと思っていたらだ。
 ポッポタイム唯一のカップル、遊星と十代がイチャコラしていた。

「……何やってるんだ?」
「あ、クロウおかえり」
「……」
「見てくれよクロウ!上手くできたと思わないかこの炒飯!」

 パソコンに向かって作業をしている遊星の膝に横向きに乗り、炒飯の皿を俺に見せる十代。
 こいつらのバカップルぶりは付き合い初めてから変わらないが、行動が意味不明だ。どういう状況なんだ。

「炒飯作ったのに、遊星ってばいつまで経っても飯食わなかったんだよ。でも口元まで持っていったら食ってくれてよー!遊星可愛すぎて俺死ぬっ!」

 遊星は動物か。しかも十代は何気にスプーンを一つしか使っていない。関節キス狙いかよ。お前らいつでも人がいても構わずキスするくせに……いや、普段しているから関節キスくらいどうってことはないのか。

「ああ、そうか…幸せそうだな」
「遊星あーん」
「あ」
「クロウ!どうしよう!俺遊星の可愛さのせいで爆発して死にそう!」

 いっそ爆発しろ。爆発してその幸せな頭をちょっとはマシにしろ。

「クロウも食うか?」
「え、いいのか?」
「ほれ」

 そう言って十代は、今まで使っていたスプーンを使って俺に差し出した。
 ちょっと待て。そのリア充スプーンで食えというのかお前は。俺は関節キスとか気にしないから問題ないが。

「じゃあ貰うぜ」
「クロウ」
「ん?なんだ遊星」
「それを食べるなら、お前のDホイールに細工するぞ」

 遊星はモニターを見たままそう言った。遊星の発言に呆れと恐怖を感じて固まっている間に、その炒飯は遊星に食われた。

「十代さんが作ったものは俺にだけ食べさせてください」
「遊星…っ!」
「例え関節キスでも、俺だけですよ」
「遊星ぇえええ!大好き!大好き!!遊星が好きすぎて俺死にそう!」
「俺も十代さんが可愛すぎて死んじゃいそうです」
「遊星は好きって言ってくれないのか?」
「ふっ……大丈夫です。愛してますよ十代さん。もう離しませんからね」
「俺も遊星のこと離さねぇ!」

 こいつら誰かに洗脳されているんじゃなかろうか。




12/10/27

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