「じゃあ宣言してください」
「何を?」
「『俺は後輩を犯したいとも思ってないし、思ったこともありません』って」
「……それは言ってどうにかなるもんなのか…?」
「言ってもらったらなんか安心するじゃないですか。多分」
「うーん…そうかぁ?」
「宣言出来ないってことは、やっぱり……」
「言う!言うから地味に離れていくな!えっと?何だっけ」
「『俺は後輩を犯したいとも思ってないし、』」
「俺は後輩を犯したいとも……」
「えっ!?なんで途中で止まるんですかっ!?」
「いや、ちょっと思ったんだけど……この『犯す』の範囲ってどこまで?」
「!?つ、つまり範囲によっては…!」
「早とちりすんなよ!二人の間で意見が食い違ったら駄目だろ?その確認だよ確認!」
「そ、そうでしたか……ごめんなさい。あんな本持ってるくらいですから、もしかしたら全然ラインが違うかもしれませんもんね」
「遊星、お前今失礼なこと言ったっていう自覚あったか?」


「じゃあ確認していきましょう。まずは『キス』から。これは当然入るで…」
「えっ!?」
「ええっ!?」
「待て、一度落ち着け。そして俺を見ろ!」
「嫌です嫌です怖い怖い怖い怖い!!」
「するだろ!先輩後輩でキスくらいするだろ!」
「しませんよ!十代さんの行かれていた学校ではそれが普通だったんですか!?」
「してるやつなんていなかったけど」
「やっぱり普通じゃないじゃないですか!」
「いやいや、最近の若者はそれが普通なんだよ」
「……そうなんですか?」
「そうそう。先輩後輩という堅苦しい壁を破るための手段なんだよ」
「そうやって適当な事言って流そうとはさせませんよ」
「……チッ」
「じゃあ十代さんはどこを基準にしたらいいんですか」
「え?決めていいの?」
「多分このままじゃ埒が明かないんで。常識の範囲内でお願いします」
「……ちょっと考える時間くれ」

5分後

「あのさ……」
「はい」
「その……やっぱり無理だ。だって、その…したいし……」
「やっ、ややっやややややっぱりしたいんじゃないですかぁああああ!!!!」
「悪いとは思ってる!でもやっぱりしたいんだよ!」
「そう思ってるならなんで最初から言わないんですか!?」
「だ、だってそりゃ最初は否定するだろぉ!?本当は最初の言葉攻めとかすっごいしたい!」
「そんな事聞きたくないです!怖い怖い怖い!」
「うるせえな犯すぞっ!」カッ
「うわああああああああ目が光ったぁあああああああ!?」



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