制服センチメンタル
暖かくて淡い光を見せる街灯に照らされながら清志君と歩く。
時折風に靡くスカートを私は押さえ付けながら、彼は学ランのズボンのポケットに手を突っ込む。


「もうすぐ卒業ですね」


「おう」


清志君と制服という一時のブランドを身に纏い、この道を歩く日がもうすぐ終わりを迎えるのだ。
それが寂しい。


「私は清志君と制服で一緒に帰れなくなるの、寂しいです」


「そうかよ」


お互い寒空の中、白い息を吐きながら歩く。
清志君の表情は微動だにしない。
かくいう私も寒さで顔の感覚があまりないのだが。


「別に制服なんてどうでもいいじゃねえか」


「分かってないですね、清志君は」


「はあ?」


やっと表情を変える清志君。
眉間には皺が寄っている。
緑間君みたいだ。


「お前、今俺の皺見て緑間みたいだと思ったろ。轢くぞ」


「清志君との思い出が詰まった制服ですよ。寂しいじゃないですか」


「スルーか、スルーなのか。焼かれてえのかなまえコラ」


顔を反らしながら吐く暴言とは反対に私の頭を然り気無く撫でる清志君。
その手つきは言葉とは裏腹にとても優しさに溢れている。


「清志君は恥ずかしがりやですねー」


なんて言いながら私の頬にも熱が集まる。恥ずかしいのだ。


「うるせえ、刺すぞ。……ちっとは寂しさも紛れたかよ」


「……」


「?おい」


「逆に余計切なくなりました」


「ああ?お前面倒い奴だな」


「責任とって下さい」


巻いていたマフラーに口元を埋める。
隣の清志君は無言だ。


「帰り、ちっと遅くなってもいいか?」


「え、いいの?」


「お前が言ったんだろ。行くぞ」


私の手を握り足早に歩きだす清志君。
嬉しくて堪らない、暖かい。
でも寂しい、切ない。


制服センチメンタル

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