07
「それにしてもあの廊下、どこまで続いてるんだろうね」


「そういやまだ先が見えなかったな。ま、いいだろ、先がどうなっていようが」


首をコキコキと鳴らしながら言う青峰君。


「ん、そうだね」


気になるがもしあの先に例の日本人形がいたらと思うと嫌だし。
考え、一歩、また一歩階段を上ると再び広い廊下に出る。
そこには下の階とは異なる景色が。


「下の階みたいに床に物は散乱してないけどその代わり扉がたくさんあるね」


ボロさと薄暗さは健在だが。


「なんだってこんなに多いんだ?さっきみたいに少ねえ方がまだ良かったぜ」


「ほんとそれだよね。ま、取り敢えず歩こうか」


出口があればいいんだけどそう上手くいくもんじゃないよね、やっぱ。


「にしても下の階と同様、広いね。結構裕福な人が住んでたのかも」


「それは有り得るかもな。どうみても普通の一軒家の倍はあんだろ、ここ」


「そうだね。こんだけ広いんならまだ上につながる階段がある可能性もあるんじゃないかな?」


「だっりいな。さっさと帰りてえよ」


青峰君に同意だ。早く帰って寝たい。
明日は折角の休日だというのに、何故こんなリアルホラゲーよろしくな状況に巻き込まれているんだろうか。全体的に埃っぽくてきったないし。ばっちいよ。


「そういえば今って何時なんだろうね。ここに来てからってか閉じ込められてからかな?なんで私達が巻き込まれたのかとか色々と気になるけど時間も気になるね」


「あー……、まあ、そうだな」


答える彼に目を向けると青峰君はわりとどうでもよさそうに生返事をした。

それにしても青峰君の名前、ほんっとにどこかで聞いたことあるんだけど未だに思い出せない。
こう、喉まで答えが来てる感じなんだよ。
バスケが関係してると思うんだけど……。
ストバスとか思いきりいってたし。


「んだよ、人の顔ジロジロみんな」


じっと見ていたら怪訝な顔をされてしまった。
すまぬ。


「ごめんごめん。いやさ、青峰君の名前どっかで聞いたことあんのよ。でも思い出せなくて」


あははと返すと青峰君は少しの間無言で私をみやる。


「??」


「ま、誰もが知ってるわけねえしな。お前キセキの世代って知ってっか?帝光中バスケ部出身の」


「……ああっ!」


少しの間フリーズしたけど思い出したよ!
大分前に、月バスを見ていた大学の友人がキセキの世代の青峰大輝君格好いいってボヤいてたんだ!
いや結構前の事だし忘れちゃっても、ね……?顔も知らなかったし。

バスケは中高の体育の授業以来やってないし月バス含め基本雑談とか読まないからなあ。
キセキの世代は私でも聞いたことぐらいはある。
帝光中も知っている。
かなりのマンモス校だったよね。


「そっかそっか、キセキの世代のね、うん。いやすっきりとしたわ。じゃあ私がすっきりしたとこでここの扉から調べましょうか」


私が指差すのは相変わらずボロい木製の扉。


「なんでそうなんだよ。ま、いいけど。調べんならさっさと開けろよ」


「はいはい」


さて、開きますかね。
ドアノブに手をかける。


「お、開いた。……青峰君からどうぞ」


先頭を譲るとこちらを睨む青峰君。
なんだよ、なんかあったらあれだからとか自分で言ったじゃんよ。


「は?お前行けよ。レディーファーストってやつだろ、おら」


「そんな都合のいいレディーファーストがあってたまるか」


まあいいや。
呟き、私から部屋に入る。
部屋は下の階ほど荒れておらず、寧ろまだましな方だった。
埃は積もってるし汚いけど家具だってまだ原形を留めている。

そしてここもなんというか無駄に広い。
だが、調べがいはありそうだ。
それにしてもこの部屋、まんま「子供部屋じゃねえか」


青峰君もそう思ったらしい。
でも私に最後まで言わせてほしかったよ。
心の中で思ってるから仕方ないけどね。
さて、出口のヒントは見付かるだろうか。

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