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立ち上がり時計を再び確認する。針は7時前を指している。
ドラッグストアまで少し歩くが徒歩でも間に合うだろう。
チラリと正座をしている緑色の彼に話し掛けた。
もっと楽にしてればいいのに。
紫原君をご覧よ。リラックスして寝転んでるよ。

「緑間なのだよ君」

「それは一体誰なのだよ!真太郎だ、緑間真太郎!」

眼鏡のブリッジをカチャリ、押し上げ眉間に皺を寄せ険しい表情で私に顔を向ける緑間君。

「ごめんね緑間君。つい」

「全く、失礼なのだよ」

ふん、と鼻を鳴らす緑間君。
ついつい反応を見たくてからかってしまった。
反省しているのだよ。

「所で、何ですか?」

そしてちゃんとなんだかんだ返事をしてくれる緑間君。

「ああ、うん。ナイトキャップ買いに行こうかなって。私の独断で選ぶよか自分の好みのやつ選びたいでしょ?」

財布を棚から出しながら言えば緑間君が無言になる。
「緑間君?」

黙って私を見定めるかのように見つめる。

「何で、そこまで出来るんですか?俺は貴女をまだ疑っているのだよ。逆に疑われている貴女が何故俺にナイトキャップを買うという行為をするのか、理解が出来ん」

「えっ、うーん……、ううん。そうだなあ、あんま気にしてないからかな?」

「な……」

緑間君の問い掛けにそう答えれば彼はこちらが驚くくらい目を見開き、何故か心底驚いた表情に。
しかしやがて、先程のように眉間に皺を寄せて難しい顔を浮かべながら「お、願いします」と小さな声で呟き立ち上がった。

紫原君以外の歯ブラシやら色々買いに行くから一緒に行くか聞いてみようかな。
居間にいる彼等を見渡せば皆ちょっと眠そうな表情。
あ、緑間君を除いて。どうしようかな。

「皆の歯ブラシとかも買いに行くけど皆どうする?緑間君は一緒に行くけど」

「歯ブラシ?あー、適当でいいっす」

真っ先に答えたのは青峰君。
それに続く黄瀬君達。

「俺も歯ブラシは何でも大丈夫っス」

「わ、私もです!あの、すみません」

「僕もです。すみません、宜しくお願いします」

「いえいえ、気にしない気にしない。じゃ、行ってくるね。あ、風呂とか着替えの服とかは出雲君に聞いてね。出雲君は2階にいるから」

「海鳴ちん、ミドチンじゃあねー」

自分で説明をしようかと思ったがちょっとめんどくさ、いや時間が惜しいので出雲君に押し付け……じゃないや、頼んで私と緑間君は紫原君の緩い、いってらっしゃいを背中で受け止めると店の方へ向かった。


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