13
青空は徐々にオレンジ色に変わっていく。
つまり夕方に差し掛かっていた。
私の提案はすんなりと通り、早めに仕事を切り上げた私達は現在、居間へと移動。

桃髪ちゃんが桃井さつきちゃん。
青髪君が青峰大輝君。
緑髪君が緑間真太郎君。
金髪君が黄瀬涼太君。
黒子君以外とも自己紹介を済ませ、本題に。

「まず僕達の状況から説明します。お昼休み、僕達は屋上でお昼ご飯を食べる約束をしていました。この辺りは紫原君から大体の状況は聞いているかと思いますので知ってますよね」

「うん。屋上へ着く寸前に急に視界の暗転と身体の浮遊感に襲われて、気が付いたらこの世界にいたっていう話を聞いたよ。ただ紫原君が黒子君達とお昼ご飯を食べる約束をしてたのは知らなかったけど」

とにかく紫原君と彼らが友人だというのは分かった。

「やはりそこまでは把握してらっしゃいましたか。なら話は早いです。数時間前、僕達も紫原君と同じ状況で気が付いたら坂田さんの家にいました」

「あ、それで銀時君と一緒だったんだね」

「はい」

「……だが俺達が紫原と同じ状況だと知っていたのなら俺達が坂田さんと一緒にいた経緯も分かるはずなのでは?」

「うん、紫原君が私の家にいきなりって事だったらそうなんじゃないかなって思ったんだけど、皆も紫原君と同じ状況だとばかり思ってたから」

「え、そうなの?ムッ君」

「うん、そうだよー。気が付いたらいた場所は海鳴ちんの家じゃなかったし。なんか夜のネオン街だったー」

「そっか。つまりムッ君と私達は屋上の階段からって件は同じだけど、気が付いたらいた場所は違ったって事だね」

「ああ。それなら俺達の状況を知っていても坂田さんと一緒にいる経緯は分からなかった、というのは納得がいくのだよ」

さつきちゃんに同意する緑間君。

「本当は色々お聞きしたい事がありますが今は紫原君と成田さんの話を聞いてそちらの状況を把握するのが先ですね。お願いします」

「うん、勿論。3日前、珍しく明け方に目が覚めた私は散歩に行こうとお店側から外に出たんだよ。そしたらお店の壁に凭れ掛かってる紫原を見付けて介抱したのが最初」

「んで、俺はさっきも話したけど気が付いたら夜のネオン街にいたんだよねー。海鳴ちんが言ったように黒ちん達は来たばっかみたいだけど俺からしたら3日前の出来事だよー。歩き疲れて適当に壁に凭れ掛かって気が付いたら寝ちゃってて、起きたら布団の中だった」

いつの間にかお菓子を食べながら喋る紫原君。
さくさくとスナック菓子の軽い音が隣からよく聞こえる。

「紫原君、もうすぐ夕飯だからお菓子はなるべく控えようね」

「ええー……ちゃんと夕飯も食べるし。あ、そうそう、起きたら海鳴ちんがご飯運んできてくれたよー。美味しかった」

紫原君の言葉に緑間君が「お前は警戒心が無さすぎなのだよ!」と叱る。

まあそれはちょっと言えてるかも。

「いいじゃん別に助けてくれた人からご飯もらったってさー。お腹減って死にそうだったし、俺何ともなかったんだから」

言い返す紫原君に更に言い返そうとする緑間君を黒子君が宥める。

「まあまあ。とにかく、分かった事はここはどう考えても僕達の世界とは違います。そうなると僕達は所謂異世界を体験している」

「正直私も異世界ってピンと来ないんだけどそういう事になるね。きっとあの視界が真っ暗くなるのと浮遊感っていうのが原因だと思うんだけど」

「何故屋上の階段だったのか、どうしてそのような事が起こったのか、検討もつかんのだよ。これが自然なのか誰かが故意に起こした事なのか」

「そうだね、故意だという事を視野に入れたのだとしたら私達を疑うのは当然だし」

「はい。……まだ答えてもらっていないので再度質問しますが、坂田さんやあなた達が俺達をこんな目に合わせたんですか?」

「違うよ。私達も銀時君もそんな念能力使えないし」

「いや念能力関係ないと思うんだけど。でもミドチン、海鳴ちんと出雲ちんはそんな事するような人じゃないと思うよー?帰る方法見付かるまで海鳴ちん達、家に居ていいって言ってくれたし」

そう紫原君が言ったのと同時に誰かの盛大なお腹の音が鳴り響いた。

「あ、やべ」

「もう、青峰君てば……」

少し呆れ気味に青峰君へと視線を向けるさつきちゃん。

「でも俺らお昼ご飯食べる前だったし、何も食べてないっスからね」

「な。紫原のお菓子にトドメを刺されたわ」

「あげないよ?」

「いらねえよ」

そうか、皆お昼ご飯食べてなかったのか。
ちょうど夕飯時だし、ご飯作りますか。
……足りるかなあ。


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