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「どうでしょうか?」

注がれる視線。

「……例えばなんだけど」

重く閉ざしていた口をようやく開いた時だった。
店と家を繋ぐ扉付近から紫原君と出雲君の声と足音が聞こえてきた。

「おい。今紫原の声がしなかったか?」

青髪の少年が扉の方へ顔を向ける。
どうやら全員にも聞こえていたようで、彼らは驚きに満ちた表情を浮かべていた。
そして彼らと紫原君はお友達か顔見知りなのだろうと推測出来た。

「もー、折角寝てたのに何なわけー?」

「すみません、紫原君」

眠そうな声を発した紫原君と謝る出雲君が扉から顔を出す。
彼らとバッチリ目が合った紫原君は眠そうな目を見開いた。

「え、皆何でいんの?……あ」

「それは僕達も君に言える事なんですがそうですね、取り敢えず理由は何となく把握しました」

私と紫原君を交互にみやる黒子君。

「は?どういう事だよ、テツ」

「僕達の前に紫原君はここに来ていて経緯は分かりませんが成田さんの家にいましたよね。もしかしたら成田さんに紫原君は自身の状況を話してあるんじゃないでしょうか。だとしたら成田さんは僕達の状況も何となく察してるわけで」

「あー、そういう事か。じゃあ最初から言えばよかったんじゃねえか」

「まあそうなんだけどね。私から紫原君の事を話したら流れ的に余計話が進まなくなりそうだし、紫原君と君達が顔見知りだとしたら紫原君も私より君達を信じるんじゃないかな、と思いまして」

「い、意外と考えてたんスね」

「そうよ、意外と考えてたのよ、私」
すいませんいかに上手く逃げ切るか考えてたりもしました。

「取り敢えず君達の状況を何となく理解したのは黒子君の言った通り紫原君自身の話を聞いたんだよ。紫原君と最初に会った時の服装と君達の服装、同じだったしもしかしてと思って」

「でさあ、話の流れをぶちきって悪いんだけど俺今の流れがよくわからないんだよね」

「そうだね、取り敢えず居間で話して整理しない?ここで話すよりかはゆっくり話せると思うんだけど。あ、何もしないからね!?ほんと、まじだって」

「先生、そのセリフは余計怪しまれるパターンかと」

しまったああああ!


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