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今すぐ行くと言った銀時君が私のお店に来たのは2時間後だった。
その彼が連れてきたのは数人の子供。
そこまではいいとしようじゃないか。
ただね、その子供達の服装と私の顔を見た時の表情が物凄く見覚えあるんだよね。
私の推測が正しければだけど、これはもしや……。
てか銀時君めんどくさくなったから私に押し付けて逃げようとするつもりだよね。
「銀時君、まさかこの場から逃げようとか考えてないよね」
「は、はあっ!?なにいってんの海鳴ちゃーん、そんな逃げるなんて人聞きの悪い!あ、でももうすぐドラマの再放送始まるから俺帰んなきゃ」
背を向け、扉に行こうとする銀時君の襟首を無言で掴む。
「……あ、あの」
そこに、桃色の髪をしたとても可愛らしい女の子が私に話し掛けてきた。
その表情はなんとも言い難い表情。
困惑。
不安。
警戒。
驚き。
どれも混ぜ合わせたような、そんな表情。
他の子達も同様だ。
「その、えっと」
何から話すべきか戸惑っている彼女を遮るように、先程からこの中の誰よりも警戒を顕にしている緑髪の男の子が口を開いた。
なんで手に可愛らしいゾウのぬいぐるみを持ってるんだろうか。
いや、人の趣味につべこべ言うのはいかんよね。
「あなた達は一体なんですか」
「えっ、人間だよ!?」
「そんな事は分かっているのだよ!?そうではない、あなた達が俺達をこんな目に合わせたんですか?」
な、なんの話?
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