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目の前には落ち着いた寝息を立てて静かに布団の中で眠る紫色の髪をした少年。
現在の時刻は朝の10時。
あれから結構時間が経っている。

お店の壁に、倒れるように凭れかかっていたこの少年を家に運び介抱したのは明け方だった。
気紛れに散歩でもとお店側の引き戸をカラカラと引いて一歩、足を踏み出すとこの少年を見付けたのだ。

珍しい服装をした少年。
その服は所々汚れていて、首には小さいけれど傷。
表情はどこか疲労していて辛そうに見えた。
警察に連絡するよりも先に家で保護すべきだと思い、今に至る訳だ。

しかしこの少年、中々に身長が高く、がたいもよかったので運ぶのにはかなり骨の折れる作業だった。
見付けた時よりも幾分かは和らいだ表情に安堵する。

少年はまだ、目を覚まさない。


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