06
紫原君が家に来てから3日経った日の夜。
帰る場所もないしその手掛かりも見付からず、仕方がないので帰る方法が見付かるまでの間、私の家に居候という形で取り敢えず収まったわけでして。

最初は1人増えるくらい、まだ経済的にも大丈夫だろうと高を括っていた私が馬鹿だった。
お菓子の消費がとんでもないのである。
いやまあ生活用品とか食品はしょうがないとしてもだ。
男の子だし、スポーツもやっていると本人から聞いたから結構食べるんだろうなとは予想できていた。
しかしお菓子の消費がそれ以上だったのである。

紫原君と買い物に行った時、夕飯のおかずがお菓子に埋もれていた時の衝撃は忘れない。
躊躇いつつカゴにお菓子を入れる紫原君に遠慮しなくていいよなんてカッコつけたのを後悔した。
家計が火の車状態になるというわけではないけれどほぼ毎日続いたら痛い出費ではある。

だって紫原君てばお菓子あっという間に平らげちゃうんだもの……!

「紫原君」

「んー?」

居間で大の字に寝そべる紫原君は相変わらず気だるげで間延びした返事をする。

「これからはお菓子は買ってもいいけどこの間みたいな大量買いは勘弁してね、お母さんからのお願い」

「ええー、海鳴ちん遠慮しなくていいよって言ったじゃん。それにあれ、別に1日で食べきるわけじゃねえし。まだちゃんと残ってるし」

「ごみ箱がお菓子の袋で溢れる光景初めてみたんだけど!?」

「海鳴ちんのカッコつけ」

「うるさい」

「……でも海鳴ちんと出雲ちんには助けてもらったし、居候させてもらってるからなるべく控えるよう頑張るしー」

「別に居候してるって事は気にしなくていいけどさ」

「ありがとー」

「いえいえ」

彼の幼さ残る笑顔につられて思わず私も笑った。


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