03
「出雲君」
愛弟子の名前を呼べば彼は何ですかと返事を返した。
「朝の少年が目覚ましたからご飯持っていくね」
「あ、目覚ましたんですね、良かったです」
安堵する彼に笑顔を返し、私はご飯が乗せられたお盆を持ち上げると、再び目を覚ました少年の元へ歩を進めた。
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「少年、起きてる?」
襖を開ければ紫色の少年はお盆に乗せられたご飯を輝いた目で見つめる。
余程空腹な状態だったのだろう。
しかし、次にはハッとした表情に変わった。
「あ、でも赤ちんが知らない人から食べ物を貰っちゃ駄目ってー……。うう、でも腹減って死にそうだし」
どこか気だるげな声でうんうんと悩みだす少年。
赤ちんって誰ぞ。
「でもあんた俺の事助けてくれたし、赤ちんにちょっと似てるからいいよね?ねー?」
いやそんな事言われても。
てか似てたらいいもんなの。
最近の若い子って分かんない……。
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