01
不気味な薄暗い静寂の中、少年は疲労の表情を浮かべながら壁に凭れかかっていた。

いつものように重たい足取りで学校へ行って、お昼に屋上へ向かっていただけなのに。
急に視界が暗転して浮遊感が襲い、身体が地面にぶつかる衝撃。
目を開ければそこはいつもの光景ではなく、妖しげなネオン輝く夜で。
しかし、ネオン輝く町並みに、発展した自分達の世界と変わらないビルが建っていたり、所々教科書で見たことのある江戸のような景色に着物を着て歩いている人。
そして明らかに人間とはかけ離れた風貌をした二足歩行の生き物がたくさん歩いている。

異質だ。

いきなりの出来事と光景に混乱と恐怖を感じた。
理解が追い付かない。
自分と同じであろう人はそれが当たり前だとでも言うように気にも留めないのか。
ここは一体なんなのか、何処なのか。
とにかく自分の知っている場所ではない事は確かだ。

いやそもそも、もしかして場所だけでなく世界が違うのかも、なんてアホらしい事を考えた所で意識が途絶えた。


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テーマ「人外ファンタジー」
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