「……え!?」
カッターシャツの裾が盛り上がっている。
シャツを押し上げているそれの正体が分かってしまって、赤面する。
な、なんで!
なんでなの!どこでおっきするシーンがあったの!
脳内パニックを起こす僕は、ちろりと会長を見上げた。
またもやバッチリ目が合う。
なんなの!
なんで会長はずっと僕を見てるの!!
「か、会長。その、あの、ズボン濡らしてしまったから替えのズボン無いですよね。あの、小さいかもだけど、僕の履けるかな。1回着てみてください」
そう言って、僕はベルトを外して、自分のズボンを脱ぐ。
どう考えても会長には小さいズボンを手渡すけれど、会長はじっと僕の生足を見ていて受け取ってくれない。
「……会長?」
「……くっ」
会長が苦しそうに眉を寄せる。
会長!? どうしたの。そんな苦しそうな顔して。
「会長? 大丈夫ですか? ………わっ!?」
慌てて近寄ろうとして、動揺した僕は、何もないところでつまづき、会長の膝の上にダイブした。
「うっ!」
鼻を会長の胸板にぶつけてしまう。
なんとまああ。
奇跡的なことに、つまづいた拍子に今会長のおひざの上に乗ってしまったらしい。
恐る恐る会長を見上げる。
会長は案の定、眉間にすごい皺を寄せて僕を見ていて、無言の攻撃が刺さるように痛い。
「会長。ごめん、ごめんなさい。怒らないで」
会長の上からどこうとして、じりっと太ももを動かすと、会長の端正な顔がさらに歪んだ。
「うあっ………!」
…………へ?
会長の突然のうめき声に呆然とする。
つんと匂ってくる覚えのある香り。
僕と会長は今、疑似対面座位状態だ。
僕の太もものすぐそばに、会長の股間はある。
恐る恐る下を見ると、黒いボクサーがびっしょりと濡れて張り付いているのが分かった。
「か、会長。その、あの、大丈夫ですよ。心配しなくても。そういう時って男はみんなありますから。調子が悪かったんですよ多分。疲れすぎてたり、ね」
僕が必死でフォローするも、会長は眉を寄せたまま、ピクリともしない。
どうしたいいのおおおお! 誰か助けてよおおお!
臣! 臣とかどこ行ったのよ! 僕をこんなところに置いていって! 早く戻ってきてよ!
まぁ今、戻って来られたら、完全に会長と僕に何かあったと思うだろうな。
2人ともズボンを脱いで、僕は会長の膝の上。
会長はなぜかイッてしまわれた。うん、イッてしまわれた。
………え。どうしてこうなった。