「巡、寝ちゃう? ここなら安全だよ。ゆっくりお休み」
夜中にファンタジー小説読了して、睡眠時間がほとんど取れなかったせいで、猛烈な睡魔が襲ってきた。
臣の優しい声に甘えるようにして眠りに着いた。
「……んん……」
目を覚ますと、オレンジ色の光が目に飛び込んできた。
窓の外を見ると夕暮れ時らしい。
身体にはブレザーが掛けられていて、内ポケットの刺繍を見ると、臣のものだと分かった。
ブレザーを丁寧にソファに置く。
無人らしき生徒会室をぐるりと見渡して、後ろを振り返って、動きが止まった。
「か、か、」
会長!
会長がこの部屋にいらっしゃる!
言われてみれば、この部屋が2割増しでいい匂いだし、なんていうか皇帝の支配された空間っていうの? 威圧感的なものが部屋に充満してるし。
それにしても、イケメンだなあ。
あんなゴッドフェイスなら、どんなネコちゃんでもコロリだな。
それでいて、俺様キャラ。
言うことなし。これぞ王道BLの誇るべき攻めキャラ!
生で見れた。
今日は幸せだなぁ。
カメラで写真もおさめられたらもっといいんだけど、きっと隠し撮りがバレた日には生きて深海くんに会えないな。
あ。深海くん元気かな。
今もうお部屋に帰ってるかな。
怒られてもいいから、抱きついてみたい。
ご飯を食べているときに、あーんってして、冷たい目で舌打ちとかされてみたい。
あー、でも会長もやっぱかっこいいな。
深海くんみたいなワイルドさはないけど、やっぱり皇帝っぽい感じはダントツだね。
神々しいというか。ロイヤルファミリー的な気品も感じるしね。
ぼーっと見ていると、パソコンに向かって難しい顔をしていた会長とバッチリ目が合った。
呼吸を止めて一秒。あなた真剣な目をするから。
懐かしいアニメソングのフレーズが頭の中で流れた。
なんなの。僕、みなみちゃんじゃないのに、一瞬ヒロインになったみたいな感じになった!
なにこれ!
会長マジックなの!なんていう攻撃力なの!
「恐ろしい人! ……あ」
心の声が思わず漏れ出た。
案の定会長様のご機嫌を損ねた様子。
綺麗な眉が吊り上ってしまった。