え、え、なに?
「門番さん?」
唇がふわっと重なる。
呆然としていると、もう1度戻ってきた唇が重なって、今度は噛みつくようにキスをされた。
「やっ……ふぁっ……や、やぁ」
「生徒には手出さねぇって決めてたはずなんだけどな」
「門番さん、なに? やめて」
「お前がエロいのが悪い」
ソファに押し倒された。
僕はノーマルなのに。
僕はウオッチングをしたいのであって、自分が押し倒されたいわけじゃないのに。
だけど、無精ひげがズリッと音を立てて僕の頬を掠めた瞬間、腰がぶるっと震えた。
やだ。
たまらなくなる。
「ヒゲ、やぁ」
「あ? 嫌とか言うなよ。なぁ?」
ぶるぶると全身が粟立つ。
頬をすりすりとされて、力の弱い僕はソファに押し付けられたまま、彼に馬乗りにされた。
だめなのに。
僕は腐男子なのだから、常に傍観者でいなきゃいけないのに。
僕自身は男性が好きなのか、女性が好きなのか、恋愛経験がないから分からないけど、僕みたいな平凡と門番さんなんて全然おいしくないのに。
「だめなの……っ」
もう1度キスを落とされる。
唇を割って、熱い舌がにゅるりと押し入ってくる。
「あ、あふっ……んぅぅ」
くちゅくちゅと舌を絡めとられて、体中の熱が上がる。
首元をくすぐられながら濃厚なキスをされて、身体をよじりながら僕はただキスを受け入れることしかできない。