次の日の朝。
僕は泣きはらした目で目覚めました。
平凡フェイスがブスに降格したところで誰も困らないから全く問題ないです。
でも、扉を開けて、リビングに入ると、寝起きの深海くんとバチッと目が合いました。
きゅっと整った眉をひそめられて、僕は思わず俯きました。
ふ、不快にさせたらしい!
誰も困らないどころか、不快にさせてしまった!
僕ってなんでこうなの! 人に迷惑とか考えないの!
壁に頭を打ち付けていると、深海くんの手がすっと壁と僕の額の間にはさまれた。
「壁が傷付く」
「……あい。ごめんなさい」
そうだね、ここは2人の相部屋だ。
壁を傷付けてはいけませんね。
はぁっとため息を吐いて、洗面所に行こうとすると、深海くんが僕の腕を引っ張った。
「昨日、泣いたのか?」
「え?」
「昨日やっぱり、なにかあったか」
「え、あ、……ううん、なんでもない」
ま、まさか、深海くんノンケ説浮上に打ちひしがれていたとか言えない!
それから、現実逃避をして、BL小説神サイトに訪問して、3度くらい読んだ完結ファンタジーものを読了して涙したなんて、それも言えない!
それで最高の気分で眠りについただなんて!
そんな事言ったら、どんな目で見られるものか!
深海くんは僕を不審そうな目で見つめていたけど、そのうち腕を話して、僕の髪を乱暴にくしゃくしゃと撫でまわした。
「くしゃくしゃにしないで」
「寝癖の髪で何を言ってる。早く髪整えてこい」
優しい目で見つめられて、僕の胸はなぜかキュウンと激しい音を立てた。
パタパタと洗面所に走りながら、激しく高鳴る胸を手でぎゅっとおさえる。
なんなの僕! どうしちゃったんだろう!
それとも深海くんの攻撃力が増しているっていうの!?
確かに彼の攻撃力は元々高かったけど、最近磨きがかかっているというか。
「どうしてなのおおお!」
「うっせぇ!!!!」
「……ごめんなさい」
叫んだら、それ以上の声量で叱られました。