思考が飛んでいると、エンジェルが僕を観察するようにじっと見ていた。
「巡くんはお肌すべすべだね?」
「え、そうですか? 特に何もしてないです。光くんもすべすべですよ」
そっと手を伸ばして、頬に触れる。
なんという手触り!
ていうか、僕、今自然に触れたけど、これ罰が当たるんじゃ?
慌てて手を離そうとすると、臣が僕の手を無理やり引きはがした。
ぷぷぷ。臣は僕を当て馬にしようとしているようだけど、うまくできてないぞ!
僕を嫉妬の対象にするなんて。可愛いやつめ!
「巡、僕のほっぺも触ってよ」
「え、え、でも」
「ほら」
手を引っ張られて、臣のほっぺに無理やり当てられた。
するりと撫でる。
僕の後ろにいる臣を振り返りながら見つめると、ちゅっと頬にキスが落とされた。
「え! やっ、だめですよ」
「なんで? さっきまであんなに可愛いの見せてくれたのに」
「さ、さっきは、だって、ほら。今はダメです!」
「つれないな。あぁ、分かった。耳野がいるからか。放っておいていいのに」
そんな事!
光くんの反応が気になって、チラリと様子をうかがうと、般若みたいな顔で臣を睨んでいました。
それでもかわゆい!
なんでなの!地上に舞い降りた奇跡なの!?
しばらくすると、ルームサービスが届いた。
それはそれは豪華な夕食だった。
「ステーキ! なにこれ! 分厚い! うわ、しかも中がレアだ! きゃー! 嬉しい!」
「喜んでくれて良かった。また一緒に食べようね」
「はい! 呼んでください!」
臣が甘い顔で微笑む。
ステーキおいしすぎ。無言でクレープ食べてるエンジェル可愛すぎ。
至福の時間。
一緒に泊まろうと提案する臣の誘いを断って、なんとか自室に辿り着いた。
時刻はすでに夜の11時を回っていて、消灯時刻を過ぎている。
扉の前でごくりと唾を飲み込んだ。
まぁ多分、深海くんは自分の部屋にいるんだろう。
リビングにはいないはずだ。うん。