寮の入り口に着く。
ここまで10分は歩いた気がする。
ビルのようにそびえたつ寮をポカンと見上げると、副会長が僕の頭を撫でて笑った。
「ここに全員が住んでいるんだ。僕は特別階に住んでいるから、自由に行き来はできないけど、携帯教えておくから、眠れなくて寂しい時は電話して? 迎えに行くから」
あれ、なにこれ。
口説かれてる?
それともこの人は全員に携帯を教えているのかい。
赤外線をいつの間にかにこにこと受信していた僕は、去っていく副会長を呆然と見送った。
あれ。
僕って至って平凡男子なのに、なんで副会長あんなにやさしかったんだろう。
やっぱり僕が転校生だからかな。
そう思うと、副会長って実はすごく優しい人なのかもしれない。
さんざんひどい妄想していたけど、そうだったのかも。
悪い事したなぁ、今度ちゃんとお話したいな。
寮監室まで案内されていた僕は、コンコンと扉をノックする。
だって窓口はあるけれど、そこに人影はいない。
だから、隣の扉をノックして待っていると、そのうちガタガタと音を立てて人が出てきた。
「おう、まぁ入れよ」
あからさまに寝起きっぽい。
さっき門で応答してくれたはずなのに、この短時間でまた寝ていたというのか。
でも許す!
全然許す!
だって無精ひげ!萌え!
門番さん、無精ひげプラスそこはかとなくおっさんっぽいし、多少の不潔感もあって、一日中寝ているんじゃないかと思える気だるい感じも、僕の求めていた門番さんにピッタリです!
やっぱりここは王道だぁ。
本当に叔父さんにお願いして良かった!
チワワにじょりじょり!チワワにじょりじょり!
あー、見たいなぁ。
それが見れるなら1000円払うのになぁ。写真に収めさせてくれるなら、プラスで5000円払っても構わないよ!
3次元の萌えはとっても貴重だからね。