僕の誤算。王道編入生がいない
「あの、この学校って、男同士で恋愛してるってほんとですか?」

「あぁ、噂に聞いた? まぁ本当かな。全員がそうってわけじゃないよ。でも巡くんは可愛いから心配だね。気を付けてね」


やっぱり!
やっぱりここには楽園が存在するんだああ!


興奮して顔がカッカと赤くなっていた僕に何を誤解したのか、副会長がくすくすと笑って、「可愛いね」と囁いた。

やめて!
僕はノーマルですから!

そんな風にイケメンボイスで囁かれたって、ピクリとも萌えませんから!


それはもう王道転校生に思う存分囁いてやってください。


「あと、もう1つ聞いてもいいですか?」

「うん?」

「あの、転校生って僕以外にも入ってくる事ってありますか?」

「んー、どうだろうね。君が開校以来初めての転校生って聞いたけど。基本的にはうち、編入とかないからね。理事長の親戚だって聞いたから巡くんが特別じゃないかな」


ノオオオオオオ!

そうだった、僕完全に裏口入学だった。

僕にめっきり甘い叔父さんにお願いして、この学園に入学させてもらったわけで、ここには転校生なんてめったに来ないわけか。

うわあああああ、大誤算!


でも待てよ。

この際、諦めのいい僕は王道転校生は諦めてしまおう。

この学園にはきっと僕の探し求めているエンジェルがすでにいるはずだ。

別に転校生じゃなくたって構わない!
そうだよ、総受け要員がすでにいるのかもしれないじゃないか。
いやここは全寮制男子校。確実にいる!!


学園に慣れたら、すぐにエンジェル探しに出かけるぞお。


「そんなに固まらなくても大丈夫だよ。緊張しないでもみんな優しいから」


また副会長は勘違いしたらしく、妄想を飛ばして固まっていた僕を連れて、寮まで案内してくれた。


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bkm
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