あっさり騙されるのが君のいいところ
「巡くん、こんにちは」

「あ、こんにちは」

「水零しちゃったね、シャツが濡れちゃってるよ」

「あー、本当だ。でも大丈夫で…………え?」


ぐいっと腕を引っ張られた。


「え? え?」

副会長が僕の腕を引っ張って、食堂を出て行こうとする。


「着替えた方がいいね。とりあえずおいで」

「え、はい」


でも。
できればこれをするのは、昨日発見したエンジェルにしてほしかったあああ!

そうしたら、僕はそれをにまにまとウォッチングしたのに!


副会長のいきなりの暴走に引っ張られて、いつの間にか着いた場所は副会長の自室だった。


なんでこんなところまで!

別にシャツもう乾きかけているんだけど!


「とりあえず座ってよ。巡くんとゆっくりお話もしたかったんだ」

「な、なんで僕と?」

「えー、可愛いから」

「か、かわ!? そんなわけないです。それなら、エンジェ……えっと、生徒会のあの人の方が断然可愛いし!」

「え? 生徒会のって、誰だろ。もしかして耳野?」

「あ、はい。そうです」

「ふうん。巡くんはああいうのがタイプ?」


た、タイプっていうか。
僕はノーマルだし。腐男子って巨乳の女の人がだいたい好きだから、僕もきっとそうだし。でも確かに男の子の中で選ぶなら、あの子がいいかな。
だって可愛い。
キスとかしたら真っ赤になりそうで、って、僕なに考えてるんだろ。


副会長は、アイスティーを僕に出してくれて、遠慮なくそれを頂く。


ぐるりと部屋を見渡す。

僕の部屋より随分広いなぁ。
なんか1人部屋っぽいし、やっぱり生徒会は特別仕様なんだな。


「巡くんはこの学校馴染めそうかな?」

「あ、はい。みんな優しいし。多分大丈夫です」

「そう。困ったことがあったら言うんだよ?」

「ありがとうございます!」


やっぱり副会長、超優しい。すっごくいい人。
胡散臭い笑みなんて思ってごめんなさい。今は綺麗な笑顔だし、テンプレート通りの副会長ではありませんでしたね!失敬失敬!

僕はご機嫌で、アイスティーを飲み干す。


あ、あれ?
だんだん眠くなってきた、よ。


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bkm
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