「あ、あの、手」
いや、他の人にやるならおいしいけど、僕にやるとか全然萌えませんから!
転校生いじめ? まさかの?
僕っていじめられやすいけど、転校初日でいじめられるなんて。
どうしよう。どうしよう。
教室の窓から机とか投げられたりするかな。
もしかしたら、靴箱にカエルを入れられるかも。
ぷるぷる震えていると、後ろから助けの声が入った。
「沢村。離してやれ」
「はいはい」
深海きゅん!!!
低音ボイスの助けは僕を自由にしました。アーメン。
沢村くんは頬杖をつきながらこちらを見ている。
くるりと後ろを振り返って、深海くんに向かってパクパクと口を開く。
ありがとうって言わなきゃ。ありがとうって。
でもなぜか心臓がバクバクして、声が出ない。
すると、彼は僕をものすごく馬鹿にした目で見て、おでこを指ではじいてきた。
「わかったから、前向け」
「……はいっ」
なんだか僕、変です!
お昼休みになって、沢村くんと深海くんと一緒に食堂に行くことになった。
成り行きは、深海くんが優しくて、僕に「飯行くぞ」と言ってくれたのです。
うきうきして頷くと、沢村くんが「僕も行く〜」と軽快についてきました。
彼はいじめるから僕は警戒をしています。
食堂に辿り着いた。
たくさんの生徒で溢れているけれど、食堂の面積の広さからか、そこまで圧迫感を感じることはない。
僕、基本的に人の多いところダメなんだよね。
人に酔うっていうか、色んな人の声とかが混じる感じがしんどくなる。
意外と繊細な人間なんだよね、ふふん。誰にも信じてもらえないけどね。ふふん
でも!
そんなことは気にならないんだなー。
だって、ここはもう腐の宝庫!
ああああん。
だれか、目の前で、あーんごっことかしてくれないかなぁ。
すぐに撮影会開始しちゃうんだけどぉ!