左に振り向く。
すると、キラキラと光でも見えそうなほどさわやかな人がいた。
えー!なにこの人!
超さわやかなんだけど!
背が高そうだし、サッカー部? バスケ部?
僕を見てにっこり笑うその人、通称さわやかくんは白い歯を見せて、僕に手を伸ばしていた。
「え? え?」
「よろしく。 俺、沢村勇樹」
「あ、綾瀬巡です。よろしくお願いします」
「巡な。よろしく」
彼の手にゆっくりと自分の手を差し出す。
彼は俺の手を掴んで、にこやかに握手をしてくれた。
いきなり呼び捨てとか! まああああ! 垣根なんてないんだね!? 人類皆兄弟の法則!?
そして、沢村くんはクラスの人気者なのか、僕と話している様子をクラスのチワワたちがガン見してきている。
分かる。分かる。
彼、かっこいいもんね。茶色い髪はサラサラとなびいているし、少しだけ日に焼けた肌は健康的だ。
特に笑うと、目じりにしわができてとてもチャーミングだし。
……それより。
「あ、あの、手、離して」
ずっと握られている手は、なかなか離してくれず。
彼はつながった手を見てから、僕の顔を見てにんまりと笑った。
「困ってる。可愛いな」
…………え。
まさかの腹黒!?
腹黒さわやかとか!
どんだけおいしいの!
なにその萌え要員。
一瞬攻めか受けか考えた自分が馬鹿だったよ!完全に攻め要員だね!
なんなら、沢村くん×副会長とかおいしくない!?
あの澄ました美人を陰でいじめちゃうとか。縄で縛っちゃったりして、「沢村くん、これはどういうことだい……」とか言わせちゃったりして!
きゃあああ!けしからんもっとやれ。