「ごめんね、帝は誰に対してもああなんだ。気にしないでね。また話しよう。じゃあね」
副会長はまた僕の頭を撫でて去って行った。
エンジェルも僕に小さく手を振って去って行く。
僕は無心で手を振りかえしてから、残っていた焼肉定食を食べた。
部屋に帰ると、深海くんがお風呂に入っていて、お風呂から出てきた深海くんはボクサーパンツ1枚だった。
「ぎゃっ!」
顔を赤くした僕を、深海くんは馬鹿にしたような目で見て、自分の部屋に戻って行った。
飴と鞭の使い手だなぁ、ほんとに深海くんったら。
僕を甘やかさないんだからぁ。
しかし今日は、萌えがかなり手に入れられたので気分がいいです!
ああ、でも残念です。
深海くんのパンツお姿を写真におさめて、エンジェルに渡せばよかったです。
そうすれば僕は2人の恋のキューピッドになったかもしれません。
僕はお風呂に入りながら、明日叔父さんは何を食べさせてくれるんだろうと考えていた。
次の日、理事長室まで向かおうと男子寮から出ると、叔父さんの秘書さんに呼び止められた。
「綾瀬様ですか?」
「え、あ、はい。綾瀬巡です」
「理事長にお連れするように言われております。どうぞ」
「あ、ありがとうございます」
神経質そうな男性に案内される。
銀縁のメガネを掛けている。鬼畜眼鏡?
なにそれ。こんなとこにも攻め要員が。あ、でも鬼畜眼鏡ってことは受けもいける?
まさかのリバ要員なの!?
ぎゃん萌えなんだけどー!
「あ、あの、」
「はい?」
「あの、可愛い子とかっこいい子、どちらがすきですか」
曖昧に濁して質問してみる。
さすがの僕も、攻めですか、受けですか、なんていきなり聞けないしね。
「え、私ですか? ……ええっと、可愛い子、ですかね」
「………そうですか」
しゅんとする。
リバ要員はそんなに簡単には見つけられないのか。