目の前にそびえたつ学校の前に立つ。
感想は、恐ろしく大きい。
ここに世界を担っていく坊ちゃんたちがいるのかと思うと、思わず唾をごくりと飲み込む。
ぐふぐふと緩む口元をおさえられない。
だって。
だって、だって、だって!
全寮制男子校!
もうこれは腐った匂いがビンビンに感じられるよ。
くんくんと鼻をならす。
香ばしい匂いが香ってきている気がして、思わず足をバタバタと踏みつけて悶えた。
ビバ!男子校!
ただ自分が時期外れの編入生というのがどうも残念な気がする。
この条件でいうとピッタリ王道転校生路線が狙えたというのに、まさか自分じゃ全く萌えない!
副会長が迎えに来て、笑顔が胡散臭いとか言って、気に入られるんだよな。
あ、でも、このパターンってもう古いかな。
いやでもこの1番王道パターンが僕はなんだかんだで好きだ!
まぁ最近本当の王道パターンのお話ってかなり減った気がするんだよね。
最近ずっとブックマークしてた神サイトも閉鎖してて、3日はご飯食べられなかったし……。
ずんと沈んだ気持ちのまま、ピンポーンと呼び鈴を鳴らす。
大きな門の前に立って、カメラ付きの呼び鈴の前で待っていると、そのうちガチャガチャと音を立てて通信が繋がった。
「はいはいー?」
「あ、僕、今日から転入してきました、綾瀬巡(あやせ めぐる)と言います」
「あぁ、お前か。話は聞いてるぞ。入れ」
呼び鈴越しから聞こえる、腰に響く低音ボイスにゾクゾクと体が震えた。
やーん。
門番さん、無精ひげ生えてるのかなぁ。
チワワちゃんといちゃいちゃしてほしいな。
ヒゲをじょりじょりされて嫌がってるチワワちゃんに、イケない事しちゃって、最後はその低音ボイスで「嫌がんじゃねーよ」とか言っちゃって。
きゃあああああ!萌えるうううう。
その光景見られたら死んでもいい!むしろ死にたくない!